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元米兵黙秘 死因不明、物証少なく

遺棄現場近くに手向けられた花束にはメッセージが添えられていた=沖縄県恩納村で2016年5月25日午後5時、津村豊和撮影

 沖縄県うるま市の女性会社員(20)が遺体で見つかって26日で1週間。死体遺棄容疑で逮捕された元米海兵隊員で軍属のシンザト・ケネフ・フランクリン容疑者(32)は逮捕当初に「女性を暴行して殺害した」などと供述していたが、現在は取り調べに応じていないという。米軍関係者が関与したとみられる凶悪事件に対し、過重な基地負担に苦しむ県民の怒りが収まらない中、県警は殺人容疑での立件も念頭に全容解明に全力を挙げている。

「許せない」

 女性の遺体が見つかった沖縄県恩納(おんな)村の雑木林。県警の規制線が張られた現場近くには、多くの花束や飲み物が供えられ、25日も手を合わせる人が絶えなかった。現場を訪れた女性の高校の先輩という那覇市のネイリスト、並里千聡さん(22)は「絶対に許せない。容疑者は沖縄をバカにしているとしか思えない」と声を震わせた。

 一方、名護市にある女性の実家には25日も親族らが集まり、祭壇の前で線香を上げていた。女性のいとこという30代女性は「優しくて明るい子だった。米軍がいなければ、今回の事件はなかったと思う」とうつむいた。

貧しい幼少期

 弁護士によると、シンザト容疑者は米ニューヨークの貧しい母子家庭で育ち、幼少期は一時、児童養護施設に預けられていた。

 米国防総省などによると、海兵隊への入隊は23歳だった2007年7月。補給関連の任務や射撃の指導などを担当し、対テロ戦争への従軍記章も授与されている。日本でも勤務経験があり、沖縄の女性と結婚して姓を「ガドソン」から「シンザト」に改めた。14年9月に3等軍曹で除隊後に米国から沖縄に移住し、嘉手納基地内でインターネット関連会社員として働いていた。

 近所の女性(28)は「赤ちゃんを抱いた奥さんと庭で笑顔で話していた。あんな事件を起こすとは思えない。これから幸せな新生活が始まる時だったのに……」と驚いていた。

死因分からず

 女性は4月28日午後8時過ぎ、交際中の男性に「ウオーキングしてくる」と連絡して行方不明になった。捜査関係者によると、シンザト容疑者は逮捕当初は「後ろから棒で頭を殴り、暴行して殺害した」「遺体はスーツケースに入れて運んだ」などと供述したが、今月20日以降は黙秘しているという。殺人容疑などでの立件には物証が鍵となるが、供述を裏付ける刃物などは見つかっておらず、損傷が激しい遺体からは死因も分からないなど今後の捜査は難航する恐れもある。県警幹部からは「時間は多くない」と焦りの声も漏れている。【尾垣和幸、宗岡敬介、平川昌範】

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