ユニクロ秋冬物300〜1000円値下げ 値上げは「失敗」 低価格へ回帰
カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は25日、「付加価値のある商品を低価格で売る」と述べ、価格戦略を見直し、平成26年以降の値上げで進んだ客離れに歯止めをかける考えを示した。
都内で記者団に答えた。今年の秋冬物の一部を昨年から300〜1000円程度値下げするとみられ、低価格の原点回帰で客足を呼び戻したい考えだ。
「失敗すればするほど成長する」。同日、秋冬物の展示会に併せて開かれた記者会見で、柳井会長はこう強調してみせた。
ユニクロは円安や原材料価格の高騰などを背景に、26年秋冬物で平均5%、27年も一部で10%値上げした。ところが値上げと歩調を合わせるように客数が減少。27年6〜12月に7カ月連続で前年実績を下回った。
客離れを受けファーストリテイリングは今年4月、28年8月期の最終利益予想を従来比で500億円も下方修正し、前期比45%減の600億円とした。柳井会長は業績不振の原因を「景気や天候ではなく、(価格など)内部的な要因だ」と述べ、戦略ミスを認めた。
業績を立て直すため、ユニクロは2月、一部商品を値下げした。2490円といった「中途半端な価格」(幹部)も見直し、1990円や2990円などの分かりやすい価格設定に改めた。
柳井会長は定期的に行っていたセールに関しても「最初から安いほうが良い」と指摘し、セールを減らす代りに通常の価格を低く抑える考えを示した。
ただ、4月の国内既存店客数は7.2%減と3カ月連続でマイナスとなり、価格戦略の見直し効果は今のところ限定的だ。低価格と高付加価値の両立による“値ごろ感”が浸透し客足が戻るには、しばらく時間がかかりそうだ。