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原爆投下「エノラ・ゲイ」注目 展示の米博物館、オバマ氏訪問に「何も言えない」
オバマ米大統領の広島訪問で原爆使用の是非が再び議論される中、広島に原爆を投下した米軍のB29爆撃機「エノラ・ゲイ」は今も米首都近郊で公開されている。原爆が終戦を早め多くの米兵を救ったとする正当化論が根強い世論に配慮し、現在も説明板は甚大な犠牲に触れていない。
首都ワシントン中心部から西へ約40キロ。ダレス国際空港脇にあるスミソニアン航空宇宙博物館の関連施設に、ぴかぴかに磨かれ銀色に輝くエノラ・ゲイが展示されている。旧日本軍の飛行機や退役したスペースシャトルもある。
全長30メートルの大きな機体は見学者の目につきやすい場所にある。説明板には「1945年8月6日、広島に最初の原爆を落とした」とあるが、多数の人命が失われたことへの記述はない。
展示は2003年に始まった。核廃絶活動で知られるアメリカン大のカズニック教授は当初から反対してきた。20日、共同通信に「20万人の命を奪った飛行機を展示する厚かましい国が他にあるか。抗議のため開館時に一緒に訪れた被爆者の落胆が忘れられない」と語った。