択捉ヒグマはサケがお好き 北海道の個体の3倍捕食
択捉島のヒグマは、北海道の個体と比べて非常にたくさんのサケを食べていることを、総合地球環境学研究所(京都市北区)の陀安(たやす)一郎教授と松林順研究員らが突き止めた。同島や国後島では、白いヒグマが生息していることが知られ、食性の違いが体毛に影響している可能性があるという。英生物学誌にこのほど発表した。
グループは、北海道大にある1920~45年に採取した択捉島のヒグマ23体の頭骨を用いて調査。96~2011年に北海道東部に生息していたヒグマ190体と、頭骨に含まれている元素を比較した。結果、同島のヒグマは北海道に比べて3倍ほどサケをたくさん食べていることが分かった。
水中からは白色が見えづらいことから、捕獲には黒色体毛より有利とされる。択捉島は北海道に比べてサケが多く、この100年の環境変化は比較的少ない一方、北海道では明治時代以降、ヒグマの草食傾向が強まっていることが分かっている。
ただ北米では、択捉島と同じようにたくさんサケを食べるヒグマが生息しているにもかかわらず、白色の個体は確認できていない。松林研究員は「サケの捕獲しやすさだけでは体毛を説明できないが、要因の一つである可能性は高い」としている。
【 2016年05月25日 11時40分 】