日米当局が再発防止策協議へ
沖縄県での死体遺棄事件で米軍関係者が逮捕されたことを受け、中谷元(げん)防衛相は21日、日米の防衛当局間で米軍の軍属も含めた再発防止策を協議する方針を明らかにした。訪問先の那覇市で「米側の実効的かつ説得力ある再発防止策を求める。日米間で協議し結論を出したい」と記者団に述べた。
中谷氏は同日、自衛隊機で沖縄入りし、沖縄県嘉手納町の防衛省沖縄防衛局で、在沖縄米軍トップのローレンス・ニコルソン沖縄地域調整官と会った。喪服姿の中谷氏は「犠牲になった方の葬儀に参列するために沖縄に来た」と述べて、事件は「言語道断」と抗議。「軍人のみならず軍属による事件事故の再発防止策強化」を求めた。ニコルソン調整官は「強化させる」と応じ、「このような事件が二度と起きないよう努める」と語った。その後、中谷氏は井上一徳沖縄防衛局長に米側と協議に入るよう指示した。
また、中谷氏は被害女性の葬儀参列後、記者団に「未来ある若い大切な命が失われたことに改めて強い悲しみと怒りを感じた」と語り、「被害に遭われた方、ご親族、県民の皆さんに大変申し訳ない気持ちでいっぱいだ」とも述べて県民向けに遺憾の意を示した。
政府は米側への迅速な抗議や、再発防止の協議を通じて沖縄への配慮を示すことに腐心している。事件による県民感情悪化が、米軍普天間飛行場の移設や6月5日投開票の沖縄県議選、参院選沖縄選挙区の情勢に影響することを懸念しているためで、20日の自民党役員連絡会では茂木敏充選対委員長が「県議選にマイナスに働くのは間違いない」と危機感を示した。【村尾哲】