加湿器殺菌剤事件
実は、環境部にはいま、強い「逆風」が吹いている。
「加湿器殺菌剤」の問題だ。英国系企業が、加湿器の水を洗浄するために販売していた殺菌剤に有害物質が見付かり、1000人以上の死傷者が出ている。死者だけで少なくとも100人近くが確認されており、甚大な産業災害だ。
加湿器のタンクに入れて蒸気を噴出させる間に加湿器の水などをきれいにする殺菌剤だが、これを吸い込んだことが死亡や健康被害の原因となった。
一体どうしてこんな殺菌剤が販売されていたのか。有害物質だということをメーカーは知っていたのか。有害かどうかを判断するデータを集める際に不正はなかったのか。政府の対策は後手後手ではなかったのか。
数々の疑惑が出て、韓国ではこのニュースが1か月以上連日大きく報じられている。
野党や市民団体は、一連の問題に対する環境部の責任も追及している。市民団体が事件発生時とその直後の長官などを告発したほか、現職長官の解任も求めている。
人間の安全や健康に直結する空気や化学品の問題だけに一般国民は敏感だ。環境行政に対する視線はどんどん厳しくなっている。
こういう時に起きた日産車の排ガス「不正」問題なのだ。
先の「東亜日報」の社説は、こう主張する。
「昨年9月にVWのディーゼル車が排出ガスを操作した“ディーゼルゲート”以降、日産に対する摘発は世界で2番目のことだ。環境部が加湿器殺菌剤の問題で国民の健康を疎かにしたという批判を浴びるや、日本のディーゼル車の排ガス操作を中途半端なままで断定したのだとしたら韓国の名誉が毀損されることになりかねない」
「グローバル企業が韓国を軽く見るような口実だけを与えたまま、この日産の問題をうやむやに終わらせる場合、環境部の看板を降ろすことも覚悟しなければならない」
日産の排ガス「不正」問題は、さまざまな背景から意外な展開になる可能性もある。