特にここ数年急増したのが乗用車だ。2008年には総登録乗用車台数のうち、ディーゼル車は17.4%に過ぎなかったが、2013年には32.4%、2015年には44.7%になった。

 どうしてこんなにディーゼル車が増えたのか。

政府の支援も効果

 1つは、2000年代以降、ガソリン価格の高騰で消費者が燃料費の安いディーゼル車に流れたことだ。さらに、ドイツ車を中心とした輸入車が「加速の良さ」などを売り物に販売を伸ばした影響がある。

 もう1つ重要なことは、政府が、2009年から、一定の環境対策を講じたディーゼル車は「環境対応車」として、環境負担金の免除など「インセンティブ」を与えたことだ。

 電気自動車や天然ガス車、ハイブリッド車などと同じように「環境対応車」としたのだ。

 韓国メディアは、こうしたディーゼル車に対する優遇措置が大きな効果を上げたと指摘している。実際、2009年を契機に、ディーゼル車の販売が急加速している。

 ディーゼル車は、二酸化炭素排出量がガソリン車に比べて少ない。2010年頃までは、韓国政府の環境問題に対する関心も、二酸化炭素排出量の低減に焦点があたっていた。

 そういうこともあって、韓国では欧州並みに急速にディーゼル車が普及したのだ。

大気汚染の深刻化で雰囲気一変

 ところが、である。ここ1~2年ほどディーゼル車に対する視線が急激に変わってきた。

 PM2.5の問題だ。

 ソウルで生活していると、ここ数年、本当に空気が悪くなってきたことを実感する。特に、午前6時過ぎ頃の早い時刻に出かけると、「空気が臭い」と感じる。