大手紙の「中央日報」は5月18日付で「日産のディーゼル車 同じ試験なのに韓国は“操作”英国は“そうでない”」という記事を1ページにわたって掲載した。
同じような基準で、同じような「例外規定」もある英国と韓国で、同じ試験をした「キャッシュカイ」について正反対の判断を下したという記事だった。
「東亜日報」にいたっては、「環境部は名誉にかけて日産車“ディーゼルゲート”を立証できるのか」という環境部に批判的な社説まで掲載した。
韓国環境部と日産との間の「論争」は、結果を待つしかない。環境部もきちんと調査して発表したはずだ。日産もこれだけ全面的に反論するのだから、根拠があるはずだ。
今回の問題を受けて韓国では、いくつかの点で改めて議論が起きた。
2000年以降ディーゼル車が急速に普及
1つは、韓国ではディーゼル車の販売が急増した。その結果、大気汚染が深刻になったのではないか、という見方がメディアで繰り返し報じられている、政府の一貫しない環境政策のせいもあるのではないか、という批判の声おも出ている。
確かに、韓国では2000年代以降、ディーゼル車の販売が急増している。日産の「キャッシュカイ」はそれほどの売れ行きではなかったが、ディーゼル車全体の販売の伸びはかなりの勢いだった。
韓国の自動車新規登録統計によると、2008年の総新規登録者台数は124万6086台でこのうちディーゼル車は30.4%を占めた。
これ以前のデータは手元にないが、「2000年以降、まず輸入車が、次いで国産のディーゼル車が販売を伸ばした」(韓国紙デスク)という。
2008年の実績だけでも日本などに比べるとはるかに高い水準だが、その後、ディーゼル車比率は、2012年に38.65%に上昇した。2013年には43.5%で初めてガソリン車を抜いてしまった。2015年には52.5%と初めて新規登録者の半数を超えてしまった。