特定の人種や民族への差別をあおり、人としての尊厳を傷つける。そんなヘイ…[続きを読む]
1人の女性が生涯に産むと見込まれる子どもの数を示す合計特殊出生率が昨年…
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1人の女性が生涯に産むと見込まれる子どもの数を示す合計特殊出生率が昨年、1・46と2年ぶりに上昇した。
1994年の1・50以来の水準で、生まれた子どもの数も5年ぶりに前年より増えた。厚生労働省は、近年の経済状況の好転が後押ししたとみる。
ただ、出生数が増えたとはいえ死亡数はそれを上回っていて、人口の減少は28万人を超えて過去最大を更新した。これから出産する年代の女性が減っていくだけに、人口減の大きな流れは変わりそうにない。
結婚したい人、子どもがほしい夫婦、そんな人たちの希望がかなえば出生率は1・8程度になる――安倍政権の掲げる、そんな「希望出生率1・8の実現」という目標にもほど遠い。
子どもを産み、育てやすい環境を整備することは、今後も最重要の課題だ。手を緩めるわけにはいかない。
少子化の要因の一つが未婚の増加だ。結婚したカップルは昨年、戦後もっとも少ない63万5千組余りだった。結婚観の変化もあるだろうが、収入の少なさや生活への不安を理由に結婚をためらう若者が少なくない。雇用の安定は喫緊の課題だ。
「保育園落ちた」の匿名ブログで注目が集まった待機児童問題も、なお深刻だ。保育所に入れず育児休暇を延長した例など、いわゆる「隠れ待機児童」を含む総数は、昨年4月時点で8万人以上にのぼる。保育サービスの拡充は待ったなしだ。
日本は欧米諸国に比べて長時間労働の人の割合が多いと言われる。それが、女性が出産後も子育てをしながら働き続けることや、夫が育児に参加することを難しくし、仕事と子育ての両立を阻んでいるとされる。長時間労働の是正も急務だ。
政府が保育所の緊急整備や子育てと仕事の両立支援など「子育て支援総合計画」(エンゼルプラン)を打ち出してから20年以上が過ぎた。課題はとっくに出そろっているのに、少子化は遠い先のこととして本格的な対策が先延ばしされてきた。その歴史を忘れてはならない。
安倍政権は看板政策の「1億総活躍プラン」で保育サービスの拡充や保育士の待遇改善をうたうが、それ以前に、「税と社会保障の一体改革」で約束した子育て支援の充実策が、財源のめどが立たないまま置き去りになっている。
まずは消費税率を10%に上げて財源を確保し、手薄だった子育て世代への支援を強化する。一体改革での「約束」すら守れないのでは看板政策もかすむ。
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