“ジロで”つれづれイタリア~ノ<6>ナンバープレートと登録国が一致しない! チームカーの謎
ジロ・ディタリア第16ステージが終わりました。現イタリアナショナルチャンピオンで、かつてジロ・ディタリア、ツール・ド・フランスやブエルタ・ア・エスパーニャで総合優勝を飾ったヴィンチェンツォ・ニバリ(アスタナ プロチーム)が大幅に遅れ、今大会での総合優勝は厳しいものになりました。イタリア人の間では重い空気が漂っています。やはりジロはイタリア人選手に勝ってほしいのです。とまあ、ニバリの不調はさておき、今回の「“ジロで”つれづれイタリア~ノ」では、ある不思議なことに注目しました。サポートカーのナンバープレートです。
チョコ好きが高じたカチューシャ?
誰もが想像していることが、車のナンバープレートはイタリアのチームならイタリアのナンバープレート、フランスはフランスのナンバープレートということです。
確かに多くのチームは、チーム登録されている国のナンバープレートを使用しています。例えば、NIPPO・ヴィーニファンティーニはイタリア登録のチームで、イタリアで登録されたナンバープレートを使っています。ランプレ・メリダもイタリアのナンバープレート。
しかし、大きなチームになればなるほど、チームが登録されている国とはまったく異なる国のナンバープレートを使っています。中でも驚いたナンバープレートをご紹介いたします。
モビスター チーム(スペイン)
スペイン登録のこのチームはもちろん、スペインのナンバープレートを使っています。しかし、チームカーはメルセデスベンツにボルボ。バルベルデが所属しているだけあって、贅沢なチームです。
カチューシャ(ロシア)
ロシア登録のこのチームは、ベルギーのナンバーを使っています。
バスもベルギーのナンバープレートでとトータルコーディネート。確かにロシア人がベルギーチョコが大好きで、ついでに車も買ってしまったということかもしれません。
ディメンションデータ(南アフリカ)
アフリカ発のワールドツアーチームですが、ナンバープレートはオランダ!
確かに南アフリカは遠いですが、オランダも近くはありません。南アフリカは元オランダ領ではありましたが、車との関係は不明です…。
チーム スカイ(イギリス)
ジャガーからフォードに変わったチームカー。倹約モードに入ったこのチームは、ナンバープレートはなぜかドイツ!
スプリンターとして輝かしい活動をしているドイツ人スプリンターを狙っているためか、その真意は謎に包まれています。バスは逆にお隣の国、ベルギーのナンバープレートを使用。イギリスらしいものはラファのジャージだけのようです。
ティンコフ(ロシア)
今年でこのチームは最後になるかもと、オーナーのオレグ・ティンコフがつぶやいています。確かにピーター・サガンはアスタナへの移籍が決まり、チームは解体に向かいつつあるかもしれません。ところで、このチームのナンバープレートはかなり複雑です。
スペインにスロバキアとルクセンブルク…3カ国! ロシアが1台もありません。謎が謎を呼びます!
アスタナ プロチーム (カザフスタン)
中央アジアの経済豊かな国、カザフスタン! 青空のような美しい色が特徴とするこのチームが、なぜかイタリアのナンバープレートを使用!? もうお手上げです!
◇ ◇
実は多くのプロは自国だけでなく、ヨーロッパの何カ所かで機材倉庫を構えています。そのため、車のナンバープレートも異なる場合があります。さらにチームバスは自前でなくレンタルの場合も多く、ベルギーのナンバープレートを付けているバスが多い。陸続きのヨーロッパならではの話ですね。
さて、明日もおもしろい話をお伝えします。お楽しみ下さい。
東京都在住のサイクリスト。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会や一般社団法人国際自転車交流協会の理事を務め、サイクルウエアブランド「カペルミュール」のモデルや、欧州プロチームの来日時は通訳も行う。日本国内でのサイクリングイベントも企画している。ウェブサイト「チクリスタインジャッポーネ」