Sarn Helen Roman road (C) RICHARD THOMPSON :: Geograph Britain and Ireland
イギリスのウェールズには、国土を縦断する235kmにも及ぶ古代ローマ道があります。
その名前は、Sarn Helen(ヘレンの道)。
誰もが女性の名前をイメージする通りに、ヘレンは4世紀の後半にウェールズに住んでいた女性です。
その女性の名前がなぜ古代ローマの道についたのか?ヘレンの道にまつわる、ストーリーをお話いたします。
ヘレンの道はここにある。
※イギリス西部のウェールズにあります
大自然真っただ中の道なんですね。
そう!素晴らしい景色だなあ。ウェールズにあるスノードニア国立公園と
ブレコンビーコンズ国立公園をも縦断しているんだ。
誰がなんでこんなところにローマ道を作ったのですか?
ヘレンとは誰か?
ヘレンとは4世紀に当時のブリタニア(現在のウェールズ、イングランド、スコットランド)を治めていたエウダヴ・ヘンと呼ばれた王の娘なんだ。
このヘレンの逸話を紹介しよう!
・強気の女性だった??
ローマ軍人で後に西ローマ皇帝となるマグヌス・マキシムスは夢で見た女性が実在すると信じてその女性を探していたんだ。そしてヘレンがその人物かも知れない!と思い、ローマに来るように使いを送ったんだ。
しかし、ヘレンは私に会いたかったら、あなたが来なさい!と使いを追い返して、
マグヌスはヘレンに会いにウェールズまで足を運んだんだ。そして、マグヌスはヘレンが夢で見た女性と瓜二つであることに驚き喜び、マグヌスとヘレンは結婚したんだ。
・修道院をウェールズに伝えた
恐らくマグヌスが西ローマ皇帝となりゴール地方にいた時に、ゴールからケルト式の修道院をウェールズに伝えたという伝説もあるんだ。このためヘレンは、セント・ヘレンと呼ばれているそうだ。
◎ヘレンの道の目的は?
当時のブリタニアは、まだアングロサクソン族が侵略してくる前のローマ帝国の支配時代で、かわりに北からはピクト族(スコットランドの北部)、西からはスコット族(アイルランド)に攻められてたんだ。特にウェールズはスコット族の攻撃に手を焼いていたんだよ。
そんな時代背景の中、ヘレンは敵の攻撃を防ぐために兵士が移動しやすいように、
夫のマグヌスに道を作らせたんだ。それがヘレンの道であると言われているんだ。
イギリス英雄を支えたエレン
※マグヌスのコイン
マグヌス・マキシムスは一兵士から、ブリタニア王となり西ローマ皇帝まで出世街道を登っていった英雄です。その栄光を支えていたのがヘレンであったのだなあと思います。
現在はウェールズの観光地の一つとなっているヘレンの道を、マグヌスやヘレンも歩いたことでしょう。
当時に思いをはせながら、大自然の中を歩いて存分に歴史遺産を味わってみたいなあと思います。
最後まで読んでくださり有難うございました。
<キャスト>
ワタル課長
部下アサオ
ジェイムス先輩
※マグヌスの伝説が載っている本