衆参同日選ある? 首相否定も自民・高村氏の示唆発言に永田町で臆測広がる

2016年5月25日6時0分  スポーツ報知
  • 閣議に臨む安倍首相

 衆参同日選はあるのか―。自民党の高村正彦副総裁は24日、今国会期末に野党が内閣不信任決議案を提出した場合、安倍晋三首相が衆院解散に踏み切り、衆参同日選になる可能性があるとの認識を示した。ダブル選挙について明言を避けてきた高村氏の発言に、国会では「出合い頭解散」や「死んだふり解散」もあり得るとの臆測が広がった。一方、民進党は「決断するなら受けて立つ」(安住淳国対委員長)と、最短で27日の不信任案提出に向け調整を加速。「一度吹き始めた解散風はやまない」と同日選の準備に走り始める議員も出てきた。

 「『それならば国民に聞いてみよう』となる。立派な大義名分になりうることは確かだ」。これまで同日選に関して多くを語らなかった高村氏の、自民党役員連絡会での発言に国会は色めき立った。同党の谷垣禎一幹事長も記者会見で「大義名分になるというのは、私もそうだろうと思う」と高村氏に同調した。

 野党が不信任案提出へ準備を加速して以降、「首相の戦闘モードにスイッチが入った」(官邸前)との声も。首相の真意が読めない中、同党の閣僚経験者は、選挙事務所に使う土地の選定に着手。中堅議員は「一度吹き始めた解散風はなかなかやまない」と、選挙カーの確保に入ると打ち明けた。

 安倍首相はこの日、「解散の『か』の字も考えていない」と、いつも通り同日選の可能性を否定した。だが、党内には「首相は解散をめぐるウソなら許されるとの不文律がある。『死んだふり』かもしれない」(ベテラン議員)との疑念も渦巻く。

 解散論がくすぶるのは、首相が堅調な内閣支持率を背景に同日選を仕掛ける好機と考えているのではとの観測があるためだ。閣僚の1人は「不信任案が出るなら『出合い頭解散』があり得る」と指摘した。

 与党が衆院の3分の2以上を占める現状では不信任案が可決される可能性はゼロ。高村氏は「私のような『草食系』の人間は淡々と否決すればいいと考える」とも語った。しかし、野党が不信任案を提出し、採決前に衆院を解散した例は現憲法下で5回。否決後に解散したケースもある。

 会期末に再び吹き始めた解散風に戦々恐々の永田町だが、政治評論家の浅川博忠氏は「現状では考えづらい」と指摘する。「熊本地震の復興が進まず、春闘でベースアップは思ったほど上がらなかった。景気回復を実感できない状況。総選挙となれば衆院の議席数を減らす恐れもある」と分析。来年秋の解散と見る。

 政治ジャーナリスト・後藤謙次氏も同日選には否定的だ。「今からでは選挙準備が間に合わない。野党が不信任案を出しても、粛々と否決するのでは」。年末に衆院選を行うとの見方を示した。

 一方、民進党の安住淳国対委員長は「首相が衆参同日選を決断するなら受けて立つ」と語気を強めた。岡田克也代表も同日選の可能性について「半分以上あると思っている」と話した。

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