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書籍版 第1巻相当のダイジェスト
稜威高志は高校生でVRMMO、アルゲートオンラインのプレイヤーでゲームでは侍をしている。ある日、ふとした拍子に異世界オルディアンへとトリップしていた。
その世界はゲームとは違い現実にしか思えない。ゲームでは表現できないほど細部に渡ったリアルだったからだ。
だが、ある部分においてゲームと酷似した部分があった。なんとゲームのシステム周りの設定がそのまま使えたのだ。ステータス表示やインベントリにパーティシステム、レベルアップとともに得るスキルポイントによる成長と取得できるスキル。それらは現地人には無く、彼自身にしか使えないものだった。
ゲームの中でのキャラクターそのまま生き写しのリキオーとして彼はゲームの知識を使って有利に世界を渡っていく。これはそんな物語。
森のなかで目覚めた彼は手の中にある愛刀、正宗を手に人里を求めて森を進んでいった。
正直ゲームの中ではカンストしていたレベルも1にリセットされ、取得していたスキルもなくなっていた時は頼りなさを感じていたが、身につけている装備のお陰で途中、出くわしたモンスターも彼にとっては雑魚でしか無かった。
初めてこの世界にきて出会ったのはファンタジーよろしく青い髪の少女、イリヤだった。モンスターに襲われかかっていた所に颯爽と現れ、敵集団を難なく撃破。彼女を助けたリキオーは、イリヤの村に連れて行って貰った。
この世界で身を立てていくなら何かしらの手段が必要だ。手っ取り早いのは冒険者ギルドに登録し、出されているクエストを達成することで金を得ることだ。だが、イリヤが兄と住むサテラ村にはギルドは無かった。
そこでリキオーは村の間を定期的に巡っているという隊商を紹介してもらい、用心棒として彼らについていった。
護衛のクエストで初めて彼は対人戦に臨み、勝利する。無事にレベルアップを重ね、スキルを取得していく。
隊商の護衛を無事こなしたリキオーは彼らが本拠地としている少し大きい村、ユシュトに到着する。そこでリキオーはようやく冒険者ギルドへと登録し、宿で体を休めた。
少し余裕ができた彼はこの世界のことを調べ始める。まずはじめは魔法についてだ。
彼の知識には魔法といえばジョブとして三種の知識があった。
エルフに代表される精霊魔法、これは精霊と契約することで彼らの力を代行して使用するものだ。
そして賢者の理力魔法。これは教会にある発動体と呼ばれるものとチャネリングによって接続し、そこに収められた神の力を開放するものだ。
最後は魔術ギルドをバックに活躍する法術士による理論魔法。この世界に偏在する魔力を魔法陣などによって制御し、世界に影響を及ぼす。
だが、彼にはそのどれもを使うことが出来ない。貧弱なMPもさることながら魔法を使う前提条件が厳しかったのだ。
精霊魔法はそもそも精霊を認識できないため使えない。賢者や法術士となるには長い修業が必要なためだ。
そこで野良でパーティを組み、冒険を進めていこうと画策するが、どうもそれも上手く行かない。
ゲームであった頃は野良で前衛ジョブと後衛ジョブでパーティを組んで戦闘をこなしていくレベル上げはよくある日常の一コマでしかなかったが、この世界では野良の魔法使いが辺境にはいなかったのだ。
たとえ中央の王都においても野良でパーティを組みたがる魔法使いはいないらしい。そこで代替案としてギルドの受付嬢から聞いたのはエルフの奴隷の噂だった。王都でエルフ奴隷を手に入れてパーティを組む夢想を描きつつ、彼は日々、クエストをこなしていく。
精霊魔法、賢者、法術士以外にもかまどに火をつけるような簡単な生活魔法と呼ばれるものがこの世界にはあった。手を濡らす程度の水魔法、ゴミを埋める程度の穴を掘る土魔法、かまどに種火を灯す程度の火魔法だ。
これを試している間にリキオーはこの世界の重要な手がかりを見つけることになる。それはイメージ力と魔法の強さの相関についてだ。彼は生活魔法を練習している内に現代地球におけるファンタジーに対するイメージからこの世界にない風の生活魔法を創造してしまう。
そこから彼独自の生活魔法の世界が広がっていく。
本来生活に根ざした簡単な魔力の行使に過ぎなかった生活魔法を使って彼の戦闘はより優位になっていく。
そんな中、不本意にもその地方の災害を抑えるために組織された討伐行のパーティの一員としてリキオーは強制的にパーティを組まされてしまう。そこでリキオーは最初のパートナーである剣狼、疾風と出会う。
討伐行を無事こなして戻ってきたのはいいものの、ハヤテを宿屋で飼うわけには行かず、一軒家を借りることになってしまう。そこで、日本人として何はなくても風呂がほしいと思ったリキオーは彼がアイデアを出して村の大工の弟子たちに借りた一軒家にあった使うあてのない厩を改造して風呂場を作ってもらう。
借家の一部を改造したことを貸主である商業ギルドの支部長に咎められたが彼がその効能について説明すると、その件は許され、そればかりか風呂のアイデアを商業ギルドに売ることで結果的に大金を得ることになったリキオーだった。
リキオーの風呂はユシュト村でも大人気となり、金持ちの間では自宅に風呂を持つことは一種のステータス、地位や高い身分を表すシンボルとなっていた。その流行は王都へも飛び火し、商業ギルドの要請もあり、リキオーは王都へと観光に出かけるチャンスを得る。
彼の目的は王都でエルフの奴隷を獲得し、自分のパーティに精霊術士を入れることだ。
だが、その王都へと向かう馬車に乗ったリキオー一行は国家災害に認定される凶悪なモンスターに襲われてしまう。
リキオーの知識と、護衛のため乗り込んでいたパーティ鷹の巣団との共闘により、なんとかモンスターを倒したが、それをリキオーの手柄とするわけにはいかなかった。
何度もそのモンスターとゲーム内で渡りあい、弱点や攻略方法を知っていたリキオーの知識と彼の持つ破邪のアイテム、それが無ければ国家災害級モンスターと戦うことすら難しい相手だったのだ。
そのモンスターを倒すことは英雄となり冒険者などをしなくても一生食うに困らない地位を得ることであり、彼のようにゲームの中で何度も倒して攻略法を得るなどということは誰にも知られてはいけないことだった。
リキオーは冒険者の掟「何人たりとも知り得た他人のスキルを明かしてはならない」を盾に、彼らに国家災害級モンスター討伐の栄誉を譲る代わりに、リキオーのことを黙っているように言い含めるのだった。後にそのことが元で国から追われることになると知らずに。
王都でリキオーはエルフの奴隷として美少女アネッテを獲得することに成功し、ハヤテとともに一緒にパーティを組めるようにレベル上げを始める。最初はぎこちなかった彼女との関係も時を重ねるごとに柔らかいものになっていき、リキオーはアネッテと結ばれる。
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