こんにちは、トレタ事業開発室の小島です。
先日「UX戦略 ―ユーザー体験から考えるプロダクト作り」を頂いたので、読んでみました。様々な企業の事例を交えながらUXを戦略に落としこむ方法が書かれていました。 この機会にトレタが社内で取り組んでいるUXについての戦略と施策を紹介したいと思います。
施策は点、戦略は線
トレタではUXデザイナーという職種がいるわけではなく、職種をまたいでUX改善につとめています。これにはデザイナーやエンジニアといったプロダクトサイドだけではなく、セールスやマーケティングなどのビジネスサイドも含まれています。何より代表の中村をはじめとする経営陣が、UXに対して強い興味と深い理解を持っています。
UXの改善というのは画面の見た目をちょっといい感じにしたり、機能を増やしたりするだけで行えるわけではありません。そのひとつひとつの施策を結びつけて線にすることで、ようやく本来提供したかった体験の実現が可能になります。
トレタの方針・戦略
ではUXという観点においてトレタがどのような方針・戦略を持っているのか紹介したいと思います。
誰でもすぐに使いこなせる
これは初期のバージョンからずっと引き継がれている方針で、飲食店で働く誰もがトレーニング無しで使い始められる製品という方針を持っています。ATMを使ったことがある人なら誰でも使えて、触ってみた人が「おっ!これなら自分にも出来そう!」と思える。トレタは予約と顧客情報の共有ツールなので、誰もが使えるということに大きな価値があります。
機能の多さより使いやすさ
「便利」=「出来ることが多い」とついつい考えがちですが、多機能のものって使われていない機能がたくさんあったりしますよね?例えばテレビのリモコン、たくさんボタンがついていますが、そのうち使ったことがあるボタンはどれだけあるでしょうか。トレタは意味のない機能や、その場しのぎの機能をつけず、誰もがシンプルに問題を解決できることを良しとしています。本当に使われる機能だけを、いかに使いやすく提供するかということにこだわりを持っています。
目的の棲み分け
トレタでは目的に合わせてプロダクトの棲み分けをするようにしています。iPadアプリはお店で予約を受けたり、接客時にお客様のことを確認するためのもの。PCブラウザ向けに提供しているトレタマネージャー(Web版)は、複数店舗を経営するお店様の本部の方が座ってPCでじっくりとお店の予約・顧客情報を元にして分析をするためのもの。また、会計はPOSレジベンダー様、集客はメディア様と連携していくという方針をとっています。使うシーンや目的によってプロダクトの持つべき機能は大きく変わっていくため、それぞれに合った形での提供をしていく方針です。
トレタがUX改善のために行っている施策
ユーザーヒアリング
トレタではセールスチームが直接店舗に伺って状況をヒアリングさせていただく他に、デザイナーやエンジニアが伺ってヒアリングをさせて頂くことがあります。これは新機能の開発や大幅な改修に大きく役立っていて、現場の声を反映したプロダクトづくりに活かされています。
プロトタイピング
プロトタイピングについては、初期フェーズ(リリース以前)は代表の中村が自分で紙に画面を描き、お店に出向いて実際に見てもらうということをやっていました。現在は基本的にデザイナーが行っており、紙やSketch3などで作られたグラフィックをFlintoというツールに落とし込み、プロトタイピングを行っています。フェーズによってその内容も変化があり、最初は画面遷移を再現した紙芝居のようなもの、そして開発に近づくにつれて必要なアニメーションなどの振る舞いが加えられていきます。プロトタイピングをしっかり行うことでデザイナーが提供したいと思っているものを社内で共有しやすい環境づくりをしています。
開発体制(デザイナーとエンジニアの協業)
使いやすいUIをスピード感を持って開発をするために、デザイナーとエンジニアは共同作業の体制をとっています。お互いのミーティングに参加しあったり、社内にあるカウンターで議論しながら実装を進めたり、自身が手を動かす時間よりもコミュニケーションの量を増やして開発に取り組んでいます。
営業説明
トレタは現場の方のためのツールということで、例えばお店の経営者の方や店長の方が導入をしたいとおっしゃっても必ず現場の方に触ってからの導入をお願いしています。現場の方の納得なしに無理やりツールを導入してしまっても、結局使われずに終わってしまうからです。導入後は電話で導入状況を伺うなど、丁寧な導入フォローを心がけています。
社内のリクエストフォーム
社内には開発についてのリクエストフォームが設置されており、バグの報告からお店側の要望など、様々な意見が集まる仕組みを用意しています。このフォームで工夫されているのが、ただ単に要望を書くだけではなく、なぜその要望が上がってきたのか、お店が抱えている課題を書かなければならないという点です。 例えば「ここの画面に赤いボタンを付けて欲しい!」という要望があがってきたとします。これだけでは実際にお店側がどういった課題を持って、そのような要望を出しているのかわかりません。またこのような要望を受け続けているうちに、ボタンだらけのとてもわかりづらい画面が出来てしまうに違いありません。そのため要望のヒアリングをする際には必ず「なぜ」までを引き出すようにしています。
カスタマーサポート
トレタでは24時間体制で電話でのサポートを行っています。お店で何か困ったことが起きた時にすぐ目につくような「トレタサポートシール」を作ったり、導入したてのお店にはアウトバウンドコールを行って導入状況をヒアリングしています。
アライアンス
上に書いたように、トレタでは「目的の棲み分け」を行っているため、トレタがフォローしきれないお店の課題解決を、アライアンスを組むことによって解決するという取り組みを行っています。メディア連携やPOS連携はその中でも大きなトピックスとなっており、UX向上のため引き続きこのような他製品との連携なども強化していく予定です。
戦略を導くのは、最終的に「想い」である
さて、ここまでトレタの方針や戦略、それぞれの施策を紹介したのですが、結局この状態を成立することができているのは、トレタメンバーがそれぞれ抱えている「良いモノを届けたい」という気持ちなのではないかと思います。トレタには「良いモノを作りたい、広めたい、支えたい」という気持ちを持った人たちが集まっています。「良いモノを届けたい」という想いがなくならない限り、トレタはずっとずっと進化を続けていくんじゃないかと思います。
UXは点の施策だけで良くなるものではなく、点と点を結んだ戦略で取り組むべきで、その戦略を実行するためには強い想いが必要なのではないかと私は思っています。軽い気持ちでは形式的な施策を行うことしか出来ず、残念な結果しか生みません。もしも、なかなかその想いが発揮できないとお悩みでしたら、ぜひ一度トレタに遊びに来てみてください。UX戦略について語り合いましょう!
トレタでは引き続き飲食店の皆様に安心かつ大胆に店舗のオペレーションを改善できるような体験を届けていきます。
Special Thanks!
- Yukio Ando UX戦略 ―ユーザー体験から考えるプロダクト作り
- Mikihiro Fujii 『UX戦略』は事業にUXを組み込みたい人向けの良書だった。