【ニューヨーク=稲井創一】米種子・農薬大手のモンサントは24日、独バイエルからの買収提案を拒否すると発表した。同日の取締役会で全会一致で決めた。提案内容は不完全で、金額面でも提案価格が割安だとしている。ただ、継続して買収を巡る対話を受け入れる姿勢を示しており、バイエルがどれだけ買収額を引き上げられるかが焦点になりそうだ。
バイエルは1株122ドル、総額620億ドル(約6兆7500億円)の現金での買収を提案していた。モンサントのヒュー・グラント最高経営責任者(CEO)は24日の発表文で、提案拒否の理由について「(モンサントを)著しく過小評価しており、買収に関する資金的な手当や(当局による)規制リスクについて不安のない施策も示されていない」と指摘した。
ただ、バイエルとの買収交渉については「統合した戦略は農家や社会全般にかなりの利益をもたらす」(グラントCEO)として、バイエルとの対話継続には門戸を開いておく姿勢を強調した。交渉のための期限も設けない方針も示した。
買収実現のためにバイエルは買収価格を引き上げる必要があるが、巨額の買収資金を巡り負債リスクを懸念する声が市場にはある。24日のモンサント株は前日比3%高の109.30ドルで引けた。
一方、モンサントの提案拒否発表を受けてバイエルは同日、1株122ドルの買収提案はモンサント株主にとって確実にメリットがあると再度強調した。その上で、バイエルのヴェルナー・バウマン最高経営責任者(CEO)は「モンサントの取締役会と統合戦略のメリットを共有できたことをうれしく思う。引き続き魅力的な取引を完遂するためともに作業を続けていく」とコメントした。