(cache) 2014年2月 - 息子たちに読んで欲しい日経記事

日経新聞　経済「インフレが進めば債券価格は下落する」＝日米欧とも金利はしばらく低迷しそう＝

2014年02月10日 15時39分47秒 | 経済

日経新聞　２０１４年２月６日（木）　Ｐ．１７　マーケット総合２面
コラム『大機小機』

『グローバル債券・株式の行方』
　２０１４年の世界の証券市場では、昨年と同様に株式が債券のパフォーマンスを上回り、債券から株式への資金シフトが続くとする見方が圧倒的に多い。

だが、ファンダメンタルズは市場の多数意見とは反対の方向を指している。

　通常、債券価格の変動のカギとなる要因はインフレであろう。
１９７０年代にはインフレが世界に広がり、債券市場は壊滅的な打撃を受けた。

しかし昨年５月に米連邦準備理事会（ＴＲＢ）が量的緩和縮小を示唆して以来、米長期金利は一時３％まで上昇したが（＝１０年物新発国債の利回りに準ずる）、インフレ率は１．５％の低水準にとどまっている。

　また債務国の財政再建の努力が実り、景気も緩やかに回復しているユーロ圏では、デフレの後遺症が深刻である。

ギリシャやポルトガル、スペイン、不動産バブルの後始末に追われるオランダでは物価の下落もみられる。

昨年来のユーロ高（対円で約２０％上昇）もユーロ圏のデフレ化を助長している。

　先進国全体でもインフレ率の低下が続く。

１１年まで２％半ばで推移していた先進国（日本を除く）の消費者物価上昇率は今年は１％台に低下する見通しだ。

先進国と新興国の賃金格差、ＩＴ（情報技術）革命による経済効率化（＝失業率がなかなか低下しない）、シェールガス革命など先進国でのデフレ圧力は容易に収まらない。

ＦＲＢも今後、相当期間ゼロ金利政策を維持することになろう。
　
　これらを踏まえると、潤沢な流動性、先進国の企業業績のさらなる改善を追い風に、世界の株式は引き続き堅調な展開となろう。

しかし、昨年の株価上昇は金融危機後に売り込まれていた相場の水準訂正に過ぎなかったとすれば見方は違ってくる。

日本・米国・ドイツ各市場の株価収益率（ＰＥＲ）が１５～１７倍と過去の平均的な水準に達したことで株価上昇は一段落したとみられる。

　年初来の株価波乱は、水準訂正（流動性）相場から次の業績相場までの過渡期の調整局面と考えられる。

日本の上場企業の予想１株利益は１４年度に約２割増え、１割前後の増加となりそうな他の先進国を上回る。

日本株が、今年もグローバル市場の主役となる可能性は高い。

経験則では企業業績が素直に株価に反映される業績相場では指数の上昇は限られるが、株価の二極化が強まる。

銘柄選択が投資成績を決定する要因になる。

（逗子）

●関連日経記事：２０１４年２月１０日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
　『日経新聞　国際「マネー変調で曇る『フォワード・ガイダンス』政策」＝ＥＣＢ、英イングランド銀行＝』（２月９日付）

日経新聞　経済「円高　じわり天井感」＝海外投機筋に実需の壁＝

2014年02月10日 15時10分10秒 | 経済

日経新聞　２０１４年２月６日（木）　Ｐ．５　経済面
コラム『ポジション』＝森本学記者＝

『円高じわり天井感』＝海外投機筋に実需の壁＝
　１月下旬の新興国ショックをきっかけに進んできた円高・ドル安に天井感が漂いだした。

海外投機筋は高水準に膨らんでいた円売り・ドル買いの持ち高を圧縮するために円買いを進めてきたが、動きに変化が生じ始めたとの見方もある。

　「新たな動きをみせるヘッジファンドが出てきた」。

円相場が一時１ドル＝１００円台後半と約２ヵ月半ぶりの高値を記録した３日の外国為替市場で、関係者に驚きが走った。

　ヘッジファンド勢はこれまで「アベノミクス＝円安」をメーンシナリオにして、円売りの持ち高を膨らませたり、減らしたりして利ざやを稼いできた。

しかし、この日話題になったのは、逆に円買いの持ち高を築くヘッジファンドの登場。
円高の再燃にかけ始めたともとれる。

　だが、ヘッジファンドの動向に詳しい野村証券の池田雄之輔チーフ為替ストラテジストは「ヘッジファンドの持ち高調整が一巡した証しでもある」と分析。

今回の円高の「天井」を１００円前後とみる。
海外投機筋の短期的な円売りの持ち高がほぼゼロになった場合の水準に相当するという。

　１００円を上回る円高圏には、過去最大に膨らむ貿易赤字などを背景にした分厚い円売り需要が待ち構える。

９９円台が視野に入った４日も、結局は輸入企業など実需の円売りに押し返された。

池田氏は「円買いに転換したヘッジファンドも１００円の壁が厚いと判断すれば、円買いの持ち高を早々に手じまうのでは」と予言する。

　７日に米雇用統計などで米景気の先行き不透明感が強まれば、円買いが再び優勢になる可能性もある。

ただ海外投機筋の持ち高調整が一服したのであれば、勢いはこれまでより鈍るとの見方も少なくない。

　ある外資系金融機関幹部は、意見交換したヘッジファンドから「メーンシナリオはやはり円安」と聞かされた。

貿易赤字や日米の金融政策の違いを理由に挙げたという。

身軽になったヘッジファンドは円買いに向かうのか、それとも円売りに向かうのか。
外国為替市場でアベノミクスは分岐点を迎えつつある。

日経新聞　インターネット「ビットコインの波紋　（上）」＝ネットで「採掘」、価値産出＝

2014年02月10日 14時23分21秒 | インターネット

日経新聞　２０１４年２月５日（水）　Ｐ．５　経済面
特集連載『ビットコインの波紋　（上）』

『ネットで「採掘」、価値産出』＝発行者なき通貨＝
　インターネット上に現れた仮想通貨「ビットコイン」に注目が集まっている。

国が発行する通貨、特定の企業が発行する電子マネーと異なり、発行者も管理者もいない。

ネットでやり取りされる暗号データにすぎないが、政府の関与を受けない自由な通貨として関心が高まり、円換算した世界流通額は１兆円を超えた。

日本でも広がるビットコインの実態に迫った。

『手数料が不要』
　「会社を辞めてビットコイン取引の仕事を始めるんだ」。

東京・渋谷にあるカフェの一角は熱気に包まれていた。
毎週木曜日夜に開かれる「東京ビットコイン会議」だ。

　参加者は約２０人で、日米英、カナダなど国籍は様々。
年齢も２０歳代から５０歳代まで幅広い。

共通点は全員がスマートフォン（スマホ）やパソコンにビットコインの財布となるソフトをダウンロードしていることぐらい。

希望者がいれば円などとの交換が成立する。
カナダ人の会社経営者は「いずれドルなどの国際通貨に並ぶ」と興奮気味だ。

　「ビットコイン使えます」。
神戸市の洋菓子店「ワーフルハウス」は２０１３年１１月、店頭に看板を掲げた。

ビットコインでの支払いを希望する顧客はスマホでＱＲコードを読み取り、オランダ人の店主、マルコ・ボスさんの「電子財布」を確認。

後は自分のスマホをワンタッチして代金分のビットコインをボスさんに送るだけだ。
その時点でビットコインの所有者が書き換わる。

　クレジットカードは売り上げの３％程度の手数料を店がカード会社に支払う必要があるが、ビットコインは原則無料。

「便利でお得」（ボスさん）

『謎の人物が考案』
　ビットコインは０９年、ナカモト・サトシと名乗る人物がネット上に発表した理論を基に始まった。

ナカモト氏が誰なのかは分からず、ビットコインを発行しているわけでもない。
しかし、正体不明の人物が考案した仮想通貨は世界に拡散。

米国では数億円の豪邸の売買にまで使われる。

　国も企業も発行しないビットコインはどこから誕生するのか。
実は数式をコンピューター解析すれば誰でも入手できる。

地中から掘り出す金になぞらえ、作業は「採掘」と呼ばれる。
日本でも自宅にコンピューターを並べ、解析にいそしむ「採掘者」が増えている。

ただ、発行量が増えるほど採掘は困難になり、最終的には２１００万ビットコインという上限がプログラムされている。

　もっとも、こうした採掘の仕組みも上限額も誰かが保証しているわけではなく、永続するとは言い切れない。

記者が試しに２０００円を出して購入した０．０２６ビットコイン。
「あした、このビットコインが消えていたら」と少し不安になった。

●関連日経記事：２０１４年２月１０日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
　『日経新聞　インターネット「ビットコインの波紋　（中）」＝国家の枠超え普及競う＝』（２月６日付）

日経新聞　インターネット「ビットコインの波紋　（中）」＝国家の枠超え普及競う＝

2014年02月10日 13時35分16秒 | インターネット

日経新聞　２０１４年２月６日（木）　Ｐ．５　経済面
特集連載『ビットコインの波紋　（中）』

『国家の枠越え普及競う』＝ハイエクの夢　実現＝
　アルゼンチンペソの急落に端を発した市場の混乱で、新興国通貨や各国の株価は大きく値を下げた。

安全資産とされる日本円や金が投資マネーの避難先となるなか、もう一つ買われた「通貨」がある。
ビットコインだ。

　私設取引所で売買されるビットコインの対ドル相場は現在、１ビットコイン＝９４０ドル程度。

２０１３年１２月中旬に最高値の半値以下の５００ドル台まで急落したが、新興国市場の混乱につれて急速に値を戻した。

取引所には買いが殺到し、売買の手続きが追いつかない状況だ。

『既存通貨に不信』
　国際大学ＧＬＯＣＯＭの楠正憲客員研究員は「ビットコインは今後、政府や中央銀行への信頼が低い新興国で大きく普及する」と予測する。

　そもそもビットコインが広がり始めたきっかけは、既存の通貨への不信感だ。
金融危機に陥った欧州の島国キプロスは昨春、ユウーロ預金の引き出しを制限。

大口預金の一部を没収する政府の強硬姿勢が反発を呼び、同国の銀行から資金が流出した。
その受け皿となったのが政府に管理されないビットコインだった。

　国家の枠外にある無国政通貨。
その理論的支柱は１９７４年にノーベル経済学賞を受賞したフリードリヒ・ハイエクだ。

　「貨幣の供給を政府が独占しなければならないとの信念は未検証の仮定にすぎない」。

ビットコインのユーザー団体の日本デジタルマネー協会（東京・港）は１４年１月、ハイエクの『貨幣発行自由化論』の要約をホームページに掲載した。

　ハイエクは通貨の発行を民間に開放し、普及を競い合う必要を訴えた。
ライトコイン、ピアコイン・・・・。

実際にネット上ではビットコインに似た仮想通貨が８０以上も誕生した。

要約の作者でシステムエンジニアの藤山和彦氏は「ハイエクの描く未来が技術の進歩で現実となった」と語る。

『資金洗浄の恐れ』
　一方、ビットコインには違法薬物の売買やマネーロンダリング（資金洗浄）に利用されるという負の側面もある。

セキュリティー会社、ラックの西本逸郎取締役は「銀行を介さずにやり取りができるため足がつかず、犯罪集団にとっては好都合」と指摘する。

　リスクをはらむ仮想通貨に各国政府や中央銀行はどう対処するのか。

１３年１２月にビットコインの相場がいったん急落したのは、中国が「人民元の法的地位を保障する」との理由でビットコインを使った決済を禁止したためだ。

　インドやタイなども規制に動く。
これに対し、ドイツは利用を認め、米連邦準備理事会（ＦＲＢ）のバーナンキ前議長も「将来的には有望」と評価する。

　「大いに関心を持っておりますが、今の時点で具体的に申し上げることはありません」。
日銀の黒田東彦総裁は１３年１２月の会見で答えた。

日銀は１３年春からビットコインの実態調査に乗り出しているが、詳細はいまだに定まっていないという。

●関連日経記事：２０１４年２月９日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
　『日経新聞　インターネット「ビットコインの波紋　（下）」＝現状では過大評価：早大教授　岩村　充氏＝』（２月８日付）

日経新聞　国際「マネー変調で曇る『フォワード・ガイダンス』政策」＝ＥＣＢ、英イングランド銀行＝

2014年02月10日 05時13分11秒 | 国際

日経新聞　２０１４年２月９日（日）　Ｐ．１２　日曜に考える面
連載コラム『羅針盤』＝欧州総局編集委員　菅野幹雄＝

『マネー変調で曇る先導政策』
　「状況が複雑で、もっと情報を得る必要があるというのが、きょう動かないと決めた理由だ」。

米量的緩和縮小に伴う新興国市場の変調を横目に、欧州中央銀行（ＥＣＢ）のドラギ総裁は６日、こう説明した。

　ユーロ圏の１月の消費者物価上昇率が前年同月比０．７％とさらに鈍り、欧州の低インフレ傾向が強まった。

米緩和縮小による投資マネーの巻き返しからトルコやインド、南アフリカなどで通貨売りが広がり、利上げで防戦を強いられた新興国の中央銀行からは「先進国は身勝手だ」（インド準備銀行＝中央銀行＝のラジャン総裁）と、混乱を抑える政策協調の不在を嘆く声も出た。

　２％の物価上昇率を目標に掲げるＥＣＢは「強力な金融緩和を続け、必要なら断固たる追加行動をとる」との姿勢を明示している。

　追加緩和の観測も広がったが、ＥＣＢは「デフレに陥っていない」（ドラギ氏）と利下げなど追加緩和を見送った。

市場動乱と低インフレ傾向の展開が見極めきれないのだろう。

　中央銀行が水先案内人のように政策の方向を示す「フォワード・ガイダンス（先導）」は市場金利を落ちつかせるのに効果を発揮したが、思わぬ環境変化が政策運営の混乱を招きかねない。

英イングランド銀行（中央銀行）は「失業率が７％を下回るまで」という目安で量的緩和策を続ける方針を決めたが、予想に反して失業率が７．１％に急低下。

早期利上げ観測の台頭に、カーニー総裁はガイダンスの撤廃を示唆せざるを得なくなった。

　新興国の変調がグローバルな成長を脅かす規模まで広がるのか。
先進国のインフレ鈍化による経済の体温低下はさらに定着するのか。

世界を取り巻く不確定要素が増えるなかで、中央銀行の先導政策も曲がり角を迎えている。

日経新聞　経営「広島　なぜ『ボール王国』」＝たたら製鉄が源流、針・ゴムへ＝

2014年02月10日 03時01分15秒 | 経営

日経新聞　２０１４年２月９日（日）　Ｐ．１０　日曜に考える面
連載『電子版セレクション』

『広島　なぜ「ボール王国」』＝たたら製鉄が源流、針・ゴムへ＝
　２０２０年の東京五輪開催を控える日本。

五輪や国際大会に出場する世界屈指のアスリートが練習の段階から使い込む公式球メーカーとして知られるのが、広島市に本社を置くミカサとモルテンだ。

バレーボール、サッカーボールなど両社で国内市場のほぼ１００％を占める。
なぜ広島が「ボール王国」なのか。

ルーツを探ると、砂鉄と木炭を使った日本古来の「たたら製鉄」にたどり着く。

　「当社が作るのはバレーボールのトップクラスを狙う商品」と語るのは佐伯武俊ミカサ社長。

バレー、サッカー、バスケットなど１００個以上の色とりどりのボールが並ぶ。

　ゴムのシートを成形機に入れて袋を作り、高圧の空気や硫黄で加工する。

糸で袋の周りを巻いて強度と反発力をつけ、最後に人工皮革や牛革などの天然皮革を貼っていくのが基本的な作り方だ。

「糸や皮革を巻くのは今も昔も人の手による匠の技（たくみのわざ）」（佐伯社長）だ。

『初めはゴム草履製造』
　なぜ広島にボールの会社が多いのか。

「ゴムと針の産業と大きな関係があるんですよ」。
佐伯社長がミカサの歴史を記した資料を取り出してくれた。

　１８９５年（明治２７年）、地元出身の増田増太郎氏が英語を学ぼうとハワイに渡った。
勤務先のホテルで足音のしないゴム底靴に驚き、ゴム製造の技術を知る。

帰国後の１９０３年にゴム草履（ぞうり）の製造を始め、１７年にミカサの前身となる増田ゴム工業所を設立した。

　そのころ、広島では縫い針などの製造が盛んだった。
第１次世界大戦でドイツなどでの生産が停滞。

広島はそれを埋める特需に沸いた。

　広島のゴム産業は一時、１２０社程度にまで広がった。
ゴムの縫製に適した専用の針が手に入りやすかったこともプラスに働いたようだ。

　戦後、原爆で焦土と化した広島で、増田ゴムと名前を変えた現在のミカサは進駐軍の指導で運動用ゴムボールの生産から再出発した。

ミカサのライバルであるモルテン（＝公式サッカーボールの世界一メーカーとして有名）は、増田ゴムの専務だった登清氏が１９５８年に独立してつくった会社だ。

　ミカサはバレーボールでは１９６４年の東京五輪以降、２０１６年のリオデジャネイロ五輪までのほとんどで公式球として採用されている。

　ではなぜ、針産業が広島で盛んになったのか。
佐伯社長は「広島の針の企業だったらチューリップか万国製針が有名です」と教えてくれた。

　ミカサの旧本社工場からわずか５００メートルのところにあるのが、広島の針メーカーの中でもトップシェアを誇るチューリップの本社。

１９４８年に創業した同社の２代目、原田耕太郎社長は「広島針の起源は３００年前の砂鉄が採れた頃」と話す。

『江戸時代の内職に起源』
　針づくりは江戸時代の広島藩主、浅野家が下級武士の手内職として広めた。

長崎や京都への出荷で栄え、第１次大戦の特需で同地域には２００社ものメーカーがひしめいた。

　その針の材料となる砂鉄が採れたのが、広島県安芸太田町（あきおおたちょう）の加計という地域だ。

広島市内から車で北西へ約１時間の山あいにチューリップの加計工場がある。

　工場内には、年季の入った機械設備が並ぶ。
材料の鉄を切り、先端をとがらせて磨きを入れる。

完成まで３０もの工程では職人の手作業が最後の決め手になる。
江戸時代から培われてきた広島針の財産だ。

　加計工場から北東に車でさらに４０分、見えてきたのが広島県の文化財となっている北広島町の根束（こんぞく）製鉄遺跡だ。

砂鉄置き場や炭置き場、炉材捨て場などもあり、往時をしのばせる。

　北広島町内では古代から江戸時代にかけての製鉄場跡が約２００ヵ所見つかっており、盛んに製鉄が行われていたことがうかがえる。

加計は出雲と並ぶ中国地方の「たたら製鉄」の中心地だった。

　その後、加計のたたら製鉄はどうなったのか。

「明治時代には衰退してしまいました」と話すのは、加計のたたら製鉄の山を代々運営していた加計隅屋の２４代当主の加計正弘さん。

　だが、たたら製鉄は広島市の針、呉市仁方地区のヤスリなどの伝統産業を支え、そこで培ったものづくりの技が、造船や自動車といった国内屈指の産業集積を生み出した。

針産業はゴム産業の成長をもたらし、世界有数のボール王国を生み出す。

まさに「製鉄の技術が広島のものづくりの源流」（加計氏）といえる。

（広島支局　花井悠希記者）

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日経新聞　ことば「ＢＯＰビジネス」＝「ソーシャルビジネス」としてネスレやユニリーバが先行＝

2014年02月10日 02時01分57秒 | ことば

日経新聞　２０１４年２月９日（日）　Ｐ．７　企業面
『途上国で栄養改善事業』＝低所得層市場を開拓＝

「味の素▶ガーナ」＝離乳食用粉末＝
「カゴメ▶インド」＝ニンジン加工＝

　食品大手がアフリカやインドで栄養補助食品事業に乗り出す。
味の素は２０１５年春をめどにガーナで乳幼児の離乳食向け製品を全土で販売。

キッコーマンはケニア、カゴメはインドで商品化を進める。

当面の売り上げ規模は限られるが、低所得層向けの「ベース・オブ・ピラミッド（ＢＯＰ）」ビジネスで知名度を上げ、アフリカなど途上国市場開拓につなげる。

　味の素が販売するのは離乳食のおかゆに混ぜ、エネルギーやたんぱく質、ビタミンなどを補える粉末状の「ココプラス」。

価格は１食分の１袋１５グラムが１０円程度だ。

　昨年４月から現地で生産し試験販売したところ、想定の２倍の１日６千袋売れるなど好評という。
年内に生産設備を増強し、生産能力を１０倍に高める。

現在は都市部と北部の貧しい村それぞれ１ヵ所にとどまる販売地域も全土に広げ、１７年に数億円規模の売上高を見込む。

（▲味の素はガーナの女性たちに「ココプラス」を販売してもらう）

　現在は商品に社名のロゴを付けていないが、今後は表記し企業ブランドの浸透を目指す。

同社はナイジェリアで調味料の味の素を１袋６円程度の小袋で販売し、１００億円規模に成長させた実績を持つ。

ガーナでも離乳食向け商品から知名度を上げて他の商品も含め販売拡大につなげる。

　栄養補助食品の販売国はナイジェリアやコートジボワールなど周辺国に広げる考え。

人口１１億人で中長期的に年２％強の増加が続くアフリカ市場の開拓を目指す。

　カゴメはインドで１５年１０月をめどに、乳幼児向けにニンジンを加工してビタミンＡを補給する商品の発売を目指す。

ビタミンＡの不足による視力の低下や感染症を防ぐのが狙い。

キッコーマンも来月からケニアで離乳期の幼児の低栄養を改善する発酵食品の開発に向けた本格的な調査に入る。

　ＢＯＰビジネスは途上国の低栄養の改善など社会的な課題を事業として取り組み解決する「ソーシャルビジネス」の意味合いもあり、グローバル企業が先行している。

　スイスのネスレは途上国を中心に世界１００ヵ国以上で、その国々の栄養課題にあった商品を買いやすい価格で販売。

スープのだしを一かけら単位で売るなどこうした商品の１２年の売上高は１兆３千億円で、前年比１０％以上伸びているという。

英蘭ユニリーバは１９９０年代にインドの農村部でせっけんの効果を説明する講習会をしながら商品を販売。

地元の（貧しい＝）女性たちが販売を担い食品の販路構築にもつながった。

　日本企業では家電メーカーで太陽光を使ったランタンや、電源としても使える懐中電灯などを販売する動きなどが広がりつつある。

食品メーカーも取り組むことでグローバル企業を追いかける。

●ことば：「ＢＯＰビジネス」
　主にアフリカやアジアなど途上国の年収３０００ドル以下（約３０万円）の低所得層を対象に展開するビジネス。

ＢＯＰは「ベース・オブ・ピラミッド」の略で、全世界人口（＝約７１億５千万人）の７割が属するとされる。

低所得層が抱える様々な社会的課題の解決を目指す。
社会貢献とビジネスの両面を併せ持つ。

所得が少なくても買える商品の開発だけでなく、現地の雇用創出にもつなげる。　

◆関連日経記事：２０１３年１月２９日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
　『日経新聞　経営「ブランド死守したネスレ」＝原則貫くグローバル経営を＝』（２０１３年１月２８日付）

◆関連日経記事：２０１４年２月１３日グー・ブログ「同上」投稿記事参照
　『日経新聞　国際「初歩からのアフリカ」＝「最大の資源」人材に熱視線＝』（２月１２日付）

日経新聞　経済「低成長・重い債務・・・課題は同じ」＝日欧、互いが反面教師＝

2014年02月10日 01時21分09秒 | 経済

日経新聞　２０１４年２月９日（日）　Ｐ．３　総合・経済面
連載コラム『けいざい解読』＝欧州総局編集委員　菅野幹雄＝

『低成長・重い債務・・・課題は同じ』＝日欧、互いが反面教師＝
　長期デフレ、債務危機とそれぞれ戦ってきた日本と欧州が、苦境の出口を視野に入れつつある。

だが慢心は禁物だ。
重い課題を抱える日欧は、お互いを反面教師として意識し続ける必要がある。

　欧州当局者の表情を曇らせるのが「ユーロ圏は日本のようなデフレに陥るのか」という質問。

ユーロ圏の消費者物価上昇率は１月に前年同月比０．７％と鈍り、低インフレの傾向が進んだ。

日本の２０１３年１２月の消費者物価指数（生鮮食料品を除く総合）は同１．３％上昇と欧州の２倍だ。

　ユーロ圏のかじ取りを担う欧州中央銀行（ＥＣＢ）のドラギ総裁はそれでも「日本とは違う」と言い張る。

　理由はこうだ。
ユーロ圏は危機を受けた中銀の政策対応がより早かった。

銀行や企業のバランスシートの痛みも軽い（＝過度の負債や不良債権が少ない）。
銀行の資産査定にも着手する（＝ストレステストによる評価と自己資本の充実政策）。

人々や市場がいずれ２％近い物価上昇を予測する。
この４点だ。

　だが、外部の見方は厳しい。

英バークレイズは南欧周辺国の実質賃下げを通じた競争力改善の努力が数年は続き、出遅れたフランス、イタリアでも調整が起きて「物価上昇率がゼロ％近くまで押し下げられる可能性がある」とみる。

域内の失業率は１２％と高水準からなかなか下がらない（＝極右政党の伸長など政治不安につながる）。

　ＥＣＢ自らが関与する金融再生への評価がお手盛り気味なのは無理もない。

日本の有力当局者は「（ストレステストの結果）欧州銀の資産圧縮が域内景気の下方圧力になる」と懸念する。

　国際通貨基金（ＩＭＦ）の最新予測でユーロ圏の１４年の実質国内総生産（ＧＤＰ）の増加率は１．０％。

消費増税の負の影響を受ける日本の１．７％にも及ばない。
日本の失敗をダシに安定を気取る余裕はない。

ＥＣＢの追加金融緩和の観測が高まっている。

　日本も安閑としていられない。
アベノミクスへの追い風に恵まれた昨年のような円安・株高の好循環を期待するのは困難だ。

日銀のいわゆる異次元金融緩和や財政出動のカンフル剤の効果に頼り続けていては、息の長い成長とは無縁になる。

　世界で抜きんでた高さの政府債務残高（＝約１０００兆円）はＧＤＰの約２４２％。
３％の消費税率引き上げを考慮に入れても、債務比率は１％強しか改善しない。

債務危機の克服へ南欧が社会保障や雇用で厳しい改革を強いられる展開は日本の近未来図となりうる。

　新興国不安で株高の「貯金」が吹き飛び、浮かれたムードが見直されたのは、課題を直視するいい機会だ。

財政や社会制度の現状をいや応なしに域内他国と比較される欧州と違い、日本では「反面教師」や逆に模範とすべき他国の動きを意識する機会が少ない。

　欧州は移民や女性の活用で日本に先行し、財政や制度の安定への感覚も鋭い。

逆に日本は金融政策で一歩前に出た感があるが、それは中央銀行の緩和策に依存度が高いという事実の裏返しだ。

　安倍晋三首相がスイスでの英語演説で強調した規制改革への意志は、日中関係を第１次世界大戦前の英独になぞらえた発言の騒動にかすんだ。

世界の目を集めるには、実際の行動しかない。

●関連日経記事：２０１３年８月１２日グー・ブログ「息子たちに読んで欲しい日経記事」投稿記事参照
　『日経新聞　経済「国の借金　１０００兆円」＝６月末、国民１人当たり７９２万に＝』（８月１０日付）

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