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連載
» 2016年05月25日 05時00分 UPDATE

Windows 10 The Latest:最新CPUはWindows 10でのみサポート、Windows 7/8.1のサポートは早期打ち切りに

最新の第6世代CPUのシステムではWindows 7のサポート期限が2018年7月までとなり、本来の延長サポート期限である2020年よりも短くなってしまう。管理者はどうする!?

[打越浩幸,デジタルアドバンテージ]
Windows 10 The Latest
Windows Server Insider


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連載目次

最新CPUではWindows 7/8.1のサポート期間が短縮される

 Windows OSにはその提供時期に応じてサポートライフサイクルの期間があらかじめ決められており、その期間が過ぎるとセキュリティパッチなどが提供されなくなる。そのためユーザーは、サポートが終了するまでに次のOSへ移行するなどの対策を講じる必要がある。

SkylakeシステムではWindows 7のサポート期間が短くなる SkylakeシステムではWindows 7のサポート期間が短くなる
執筆時点で最新であるIntelの第6世代CPU(Skylake)を搭載したPC(システム)では、それ以前のCPUと比べるとサポート期間が短縮され、2018年1月までとなる。それ以降はWindows 10への移行が推奨されている。
  (1)Intelの第6世代CPUのシステムにWindows 7 SP1をインストールした例。このCPUはCore i5-6500。Coreシリーズの場合、SkylakeのCPUは型番が6xxxとなっている。

 サポートライフサイクルには、製品が発表リリースされてからほぼ5年間の「メインストリームサポート」期間と、サポート終了までの5年間の「延長サポートフェーズ」の2つのフェーズがある。

 この方針に基づいた具体的な延長サポートの終了時期は、Windows 7が2020年1月14日、Windows 8.1が2023年1月10日である(Windows 8はWindows 8.1にアップグレードすること)。

 だが2016年の1月と3月になって突然、ある特定のCPU(Intelの第6世代CPU、Skylake)を使ったPCシステムに対して、この方針を変更し、サポート終了を「2018年7月17日まで」に繰り上げるという発表が行われた。これらのOSに対しては、この期限までに「Windows 10に移行する」ことが推奨されている。

 サポートの終了時期などを図にすると次のようになる。

Windows 7/8.1のサポートライフサイクル Windows 7/8.1のサポートライフサイクル新しいCPUの方がサポート期間が短くなってしまっている。

 変更内容をまとめると次のようになる。

■Intelの第6世代CPU(開発コード名Skylake)搭載システムでWindows 7/Windows 8.1を使う場合

  • サポートは2018年7月17日までとする
  • それ以降はセキュリティ上の重要な修正プログラムのみ提供(それぞれのOSの延長サポートフェーズの終了時点まで)。ただし「Windows 7 と Windows 8.1 をサポートする Skylake 搭載システム」でリストアップされているシステムのみが対象
  • 2018年7月18日以降はWindows 10への移行を推奨
  • 企業向けのWindows 7 Enterpriseだけでなく、他のエディションも対象となる

■旧CPUでWindows 7/Windows 8.1を使う場合

  • 当初方針通りのサポートライフサイクルを適用(Windows 7は2020年1月14日まで、Windows 8.1は2023年1月10日まで)
  • セキュリティ上の重要なもの以外の修正プログラムも提供される

■今後リリースされる予定の最新CPUを使うシステムの場合

  • 今後リリースされる新アーキテクチャのCPUは(例えばIntelのKabylake、Qualcommの8996、AMDのBristol Ridgeなど。いずれも開発コード名)、その時点でリリースされている最新のWindows OSでのみサポート。つまり最新CPUのシステムを導入する場合は、その時点で提供されている最新のWindows 10が必要

Windows 7/8.1を使い続けるには旧CPUのPCが必要

 このサポート方針の変更により、既に最新の第6世代CPU(Skylake)搭載PCを購入してWindows 7/8.1を使っていたユーザーは、サポート期間が大幅に短縮されてしまったことになる。延長サポートの終了時期である2020年1月までWindows 7を使い、その時点で新システムへの移行を想定していたユーザーにとっては、大幅な計画変更を余儀なくされることになった。

 もしWindows 7を2020年1月まで使いたいなら、第5世代以前のCPUを搭載したシステムを購入する必要がある。例えば富士通は2016年4月、第4世代または第5世代のCPUを搭載した法人向けPCの新機種を発表している。

 とはいえ旧CPUのシステムの入手も今後は難しくなるだろうから、2018年7月までのWindows 10への移行を見据えて、第6世代CPUのシステムを導入して当面はWindows 7で運用することも考慮しておくべきだろう(Column「SkylakeシステムへのWindows 7のインストールは難しい!?」参照)。

Column「SkylakeシステムへのWindows 7のインストールは難しい!?」

 IntelのSkylakeシステムでは、新たに「Intel 100シリーズ」のチップセットが使われているが、このチップセットにはUSB 2.0のEHCIコントローラが含まれておらず、USB 3.0のxHCIのみが用意されている。このようなシステムにWindows 7をインストールしようとすると、途中でUSBデバイスやキーボード、マウスなどを認識できなくなってインストールが中断することがある。Windows 7のインストールメディアにはUSB 3.0のxHCIドライバが含まれていないからだ。

 これを解決するには、DVDドライブを直接SATA経由で接続してインストールするか(途中でドライバーを含んだDVDに入れ替える)、USB 3.0用のドライバを組み込んだインストール用のUSBメモリを作成する、などの対策がある。詳細はシステムやマザーボードに付属のドキュメントなどを参照のこと。SkylakeシステムにWindows 7をインストールする方法が必ず用意されているはずである(具体的な方法については、今後別記事で解説予定)。

 Windows 10をインストールする場合は、このようなドライバーの不足などの問題はほとんど起こらないので、やはり新しいOSを利用するのが望ましいのだが。


Windows 10への移行を促す施策か?

 この方針変更に伴ってマイクロソフトは、先のブログでその理由を幾つか記している。

 まず、先のブログページでは、「Windows 7 を最新のチップで実行すると、割り込み処理、バスのサポート、電力状態などの Windows 7 の想定環境をデバイス ドライバーやファームウェアでエミュレートする必要があり、Wi-Fi、グラフィック、セキュリティなどの面で問題が生じます。」としている。

 だが、方針変更はSkylakeシステムの発売から半年以上経過してから行われたため、既にWindows 7用に購入済みのユーザーも少なくなかった。本当に問題があるなら、ユーザーに対して事前に告知すべきである。それに本来は、問題が生じないようにCPUやシステム側で対応しておくべきものだ。

 また「Skylake と Windows 10 を組み合わせると、Windows 7 PC と比較してグラフィック性能が最大 30 倍、バッテリー駆動時間が最大 3 倍に向上し、チップのサポートによる仮想化をベースとした Credential Guard によってこれまでにないレベルのセキュリティが実現されます。」ともしている。つまりSkylakeでWindows 7を使うと不具合が想定されるというよりは、SkylakeならWindows 10の方がその性能を発揮できると想定し、誘導しているように見える。

 だが、ノートPCユーザーでなければバッテリーは関係ないし、高いグラフィック性能は必要としない用途も多い。

 Credential Guard(サインインに必要な特権情報を、OSカーネル内で高度に隔離する技術。Windows 10の新機能)に至っては、64bit版のWindows 10 Enterprise+ドメインのような企業環境でしか使えない機能である。個人ユーザーやSOHO、WindowsプリインストールPCを活用している中小企業にはあまり関係がない(通常、Enterpriseエディションは市販PCにプリインストールされない)。


 ところでWindows 7/8.1のサポートが2018年7月17日までという期限は、当初の発表では2017年7月17日までとなっていた。だがあまりにも唐突な発表で不評だったためか、1年間延期されている。そこまで延期するなら、もう2年伸ばして本来の延長サポート期限までにしてもよかったような気もするが(そもそもCPUの種類ごとに修正プログラムの配布方法を変えるのは、ユーザーもマイクロソフトも混乱すると思うのだが)、もう決まったことのようなので、管理者としては早めの移行対策を考える必要がある。

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