対ベトナム 武器禁輸を完全解除 オバマ大統領表明
【ハノイ西田進一郎】ベトナム訪問中のオバマ米大統領は23日、ハノイの国家主席府でチャン・ダイ・クアン国家主席と会談した。オバマ氏は会談後の共同記者会見で、対ベトナムの武器禁輸措置を完全に解除すると発表した。両国はベトナム戦争終結から20年の1995年に国交を回復したが、今回の解除を受け、クアン国家主席は「両国関係は完全に正常化した」と語った。
ベトナム戦争終結後、米現職大統領のベトナム訪問はビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ両氏に続き3人目。オバマ政権はベトナムとの連携を近年急速に強めてきており、国家主席は「かつての敵が友人に変わった」と語った。
武器禁輸の全面解除はベトナムが従来、求めていたが、同国の人権問題などを理由に、米国は部分的緩和にとどめていた。オバマ氏は、禁輸を全面解除したうえで、今後は武器輸出の際に個別に可否を判断していくと表明。両国が「共通利益や相互尊重」に基づく信頼や協力関係を築けたことが、禁輸の全面解除につながったと説明した。
両首脳は、中国が埋め立てや軍事施設整備などを進める南シナ海情勢も協議。オバマ氏は「両国は海洋問題と南シナ海での航行の自由を維持することに関し、懸念を共有している」と指摘。米国は、国際法が認める地域で飛行と航行の自由を継続する方針を重ねて示し、名指しは避けながらも中国を強くけん制した。
また両首脳は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)について意見交換し、年内承認に向けて取り組む方針を確認。経済関係や人的交流、防衛協力などの強化をうたった共同声明も発表した。オバマ氏は同日、ベトナム最高指導者のグエン・フー・チョン共産党書記長らとも会談した。