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差別解消、対応促す

ヘイトスピーチ対策法が成立し、記者会見する参院法務委員会で同法を審議してきた超党派の議員ら=東京都千代田区の参院議院会館で2016年5月24日午後3時半、後藤由耶撮影
ヘイトスピーチ対策法が成立し、参院法務委員会有志として会見する(左から)共産党・仁比聡平、民進党・有田芳生、自民党・西田昌司、公明党・矢倉克夫の各氏=東京・永田町の参院議員会館で2016年5月24日午後3時すぎ、写真は動画より丹治重人撮影

 特定の人種や民族に対して差別的言動を街頭などで繰り返すヘイトスピーチの対策法が24日、衆院本会議で可決、成立した。公布日から施行される。禁止や罰則の規定はないが、国などに解消に向けた取り組みを求める内容。不十分との指摘がある一方、「今後の行政対応や司法判断の支えになる」と期待する声も上がった。

     「差別主義者はヘイトスピーチを続けようとするだろうが、いかに対処できるかが、この法律の関門だ」。成立後、与野党の国会議員有志が記者会見し、有田芳生参院議員(民進)は強調した。

     法務省によると、2012年4月〜昨年9月の間、ヘイトデモは1152件を確認。対策を巡って、旧民主などは昨年5月、禁止規定を含む法案を提出したが、与党側は憲法が保障する表現の自由との兼ね合いから難色を示し、今国会に対案を提出した。

     審議では、禁止規定以外にも、アイヌ民族や不法滞在外国人などが保護対象になっていないことが取り上げられた。だが、会期末が迫る中、与野党は早期成立で歩み寄り「人種差別撤廃に関する国際条約の精神に鑑み、適切に対処する」との付帯決議を採択することでまとまった。

     会見では、西田昌司参院議員(自民)が「法の趣旨を踏まえ、行政はヘイトスピーチに厳正に対処し、裁判所も判断してほしい」と求めた。法務省や警察庁などのほか、ヘイトデモに悩む自治体も対応を検討する。

     ヘイトスピーチ問題に詳しい師岡康子弁護士は「国が差別を許さないという立場を明確にしたのは評価できる。市民側も条例制定などを求めることもできるようになる。解消に向けた行政側の覚悟が問われる」と指摘。一方、人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」の伊藤和子事務局長は「法改正を重ね、難民認定の申請者や外国人旅行客など(対象から)切り捨てられた人たちを含めていく必要がある」と述べた。【鈴木一生、後藤由耶】

    ヘイトスピーチ対策法のポイント

    <保護対象>

    ・適法に居住する日本以外の出身者や子孫

    <ヘイトスピーチの定義>

    ・差別意識を助長する目的で、公然と生命や身体などに危害を加えると告げることや、著しく侮蔑し、地域社会からの排除をあおる不当な差別的言動

    <国と地方自治体の責務>

    ・相談体制の整備や、差別解消のための教育や啓発活動の充実などの施策を実施

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