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名古屋ボストンが契約を終了 美術館側調整、赤字で18年度限り

 名古屋ボストン美術館(名古屋市中区)を運営する名古屋国際芸術文化交流財団は、資金不足を理由に、展示品を借り受けている米・ボストン美術館との契約を二〇一八年度末以降は更新しない方向で最終調整に入った。二十五日に財団の理事会で報告し、今後、美術館施設の後利用についての検討を急ぐ。

 財団や市の関係者によると、名古屋ボストン美術館は名古屋商工会議所などが中心となり、一九九〇年代前半から誘致活動を展開、九九年四月に金山総合駅南口の金山南ビルに開館した。米・ボストン美術館の姉妹館との位置付けで、自前のコレクションを持たず、二十年契約で米側から借り受けた古代エジプトや印象派、浮世絵などを展示。九九年四〜九月に開かれた初めての企画展「モネ、ルノワールと印象派の風景」には、入館者四十五万人を集めた。

 開設や運営に伴う資金は東海銀行(現三菱東京UFJ銀行)やトヨタ自動車、中部電力といった地元の有力企業や愛知県、名古屋市などが拠出。財団は、入館料収入や経済界からの支援で、運営経費や年間百万ドル(約一億一千万円)の米側への寄付金を賄う計画だった。

 しかし、入館者数は初年度こそ五十七万人に上ったが、その後は当初想定の年間三十三万人を下回り、おおむね十万〜二十万人台で推移。年四億〜五億円の赤字が続き、財界の支援もこれまでに百億円を超えた。愛知県と名古屋市が拠出した基金も低金利で利息収入が見込み額に届かず、現在は取り崩して運営を続けている。

 一八年度末までの運営にはめどは立っているといい、金山南ビルを所有する名古屋市は財団と協議しながら、美術館退去後の活用策を検討していく。

 

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