競馬に対してどんなイメージを持っていますか?僕は初めは週末に赤ペンを耳にかけたオッサンたちが競馬新聞を眺めながらあーでもない、こーでもないと言って没頭しているような印象でした。とにかく競馬はギャンブルっていう見方が強かったように思います。
この、ギャンブルという言葉だけが一人歩きしてしまい本来のスポーツとしての競馬のイメージがなかなか定着していないというのが現状ではないでしょうか。
断言します。競馬は約1〜3分間の緊張と興奮を味わえる心から感動する最高のスポーツです。
これをもっとたくさんの人たちになんとか伝えたいという思いで書きました。かなり長いまとめになってしまっていますがよろしければ最後までお付き合い下さい。
ちなみに、基本的な馬券買いから楽しみ方まではシンディさんのブログがかなり詳しく説明してくれているので参考にしてみるといいと思います。
僕からは競馬のどういうポイントを押さえていければ楽しめるのか、ということについて説明していこうと思います。
今週は年に1度の日本ダービーが始まります。このレースがどんなレースで、どういうところに注目すればより競馬が楽しくなるのか、一つずつヒモといて行ってみましょう。
競馬をもっと魅力的に面白くするために注目したいポイント
まずは競馬をみる上で注目すべきポイントをまとめておきます。
- 血統
- 馬、サラブレッドの歴史
- 騎手
- 厩舎、関係者、馬のお世話をする人たち
- 馬主
- 応援するすべての人たち
これらをまずは知って日本ダービーというレースについて語っていきたいと思います。
馬=サラブレッド、脈々と受け継がれる血統
まずはじめに、競馬はブラッド(血統)スポーツとも呼ばれています。「馬」と一言で言っても世界中の全ての馬が競馬に出られるわけではないんです。競走馬は「サラブレッド」という資格が必要になります。サラブレッドの資格は血を受け継いでいるかどうかです。
そもそもサラブレッドという言葉は"Thorough"徹底的な、完璧な+"bred"育てられた、躾けられた、という語源で血の繋がりだけでなく、育てられた環境も完璧だという意味があります。サラブレッドの歴史について引用すると↓
サラブレッドの歴史は、17世紀の初めのころ、イギリス人が東洋種の牡馬をイギリス在来の牝馬に配合させたことではじまったといわれています。つまりサラブレッドには、300年以上もの歴史があるのです。血統を知ることは、競馬のおもしろさのひとつです。それは、血統から特徴や傾向を探ることがレース検討につながるだけでなく、血統というものが国境や時代を越えたネットワークになっているからです。 引用:JRA|サラブレッド講座
現在の競馬で走っている馬はすべてこの300年以上も前の血を脈々と受け継いでいるのです。血統は奥が深くて、例えば人でもオリンピック選手の子供がオリンピックで活躍したり、スポーツ万能な両親から生まれた子供もスポーツ万能といったことがありますよね?
血統も同様で、あらゆるオスとメスの組み合わせが無数に存在しています。そこから相性やより強い馬を生み出すためにあらゆる試行錯誤があって配合され、1頭の馬が生まれます。
日本ダービーを勝った親の子供がまた日本ダービーを勝つ。全く縁のなかった親から突然強い子供が生まれて大きなレースを勝つ、血統については知らないと全く訳わからないと思いますが長い歴史と考えうる最高の組み合わせが常に根底にあります。
- サラブレッドの血を引く馬だけが競走馬になれる
- サラブレッドの血には長い歴史とドラマがある
- 日々、最強の馬を生み出すための配合が考えられている
ちなみに毎年生まれる競走馬は約7000頭。そのうち、すべての馬がデビューできるとは限りません。怪我や競走馬としてのゲート試験などくぐり抜けなければいけない関門が沢山あります。そして晴れてデビュー戦である「新馬戦」に出走します。ここから勝ち上がってきた中で日本ダービーに出走できるのはわずかに18頭。かなり厳しいですね。ちなみにダービーはオス(牡馬)、メス(牝馬)どちらも登録できます。
厳しい競争と訓練をクリアしてきた騎手たち
馬ばかりが注目されがちですが、騎手たちの熱い戦いにも目を向けるべきです。自分が応援したい騎手が見つかれば、その人が乗っている馬に賭けるというのも一つの楽しみ方です。
そもそも騎手にはどうやってなれるのかご存知でしょうか?まず競馬学校に行かなくてはいけません。この競馬学校ですがかなり厳しいことで知られています。例として平成29年の騎手課程の募集要項を見てみましょう。
参照▶︎http://jra.jp/school/bosyuu/j.html
20歳以下の年齢制限、体重制限もあります。視力も裸眼で0.8以上が必要。募集人数は10名程度に対し、毎年倍率は30倍!にもなります。かなり狭き門ですね…
2次試験まであり、運動能力から面接まで厳しい試験を通過しなければなりません。騎手学校に入ったあとも厳しい授業が行なわれているようです。相当な覚悟と意志がないと騎手への道は開けません。
騎手学校を卒業して晴れて免許を手に入れてからが本番です。中央競馬のレースを勝って実績を積み上げて行かなければいけません。
ちなみに、2014年時点での騎手の総人数は129名。この中で日本ダービーに出られるのはわずか18名。騎手がいい馬に巡り合う運も必要ですし、勝ち上がってくる実力も必要です。ダービーに出ることは騎手としての夢でもあるのです。
ちょっと寄り道。騎手ってどのくらいの年収なの?
騎手ってどのくらいの年収があるか知っていますか?レースの賞金の約5%が騎手の取り分と言われていますがこちらに中央競馬騎手の年収がまとめてあります↓
上位の騎手は年収1億円を優に超えています。JRAは農林水産省が運営する公営ギャンブルですので、騎手には出走するだけでもらえる沢山の手当てがあります。勝てなくてもきちんと生活できるだけの収入は得られるようになっています。
サラリーマンの年収とは比べものになりませんね…しかし、上位の争いはとにかく厳しい世界ですしケガなどで一瞬にして騎手としての資格を失ってしまうリスクもあります。決して楽な世界とは言えません。
2016年はJRA女性騎手の藤田菜々子騎手がデビューし話題にもなりました。女性で競馬騎手になるのは相当厳しく、これまで66名しかいません。2016年3月時点で現役の女性騎手はわずかに7名しかしません。
女性騎手の誕生は競馬界でも相当珍しいことです。なのでこんな風になります。
もはやアイドル並みの特集。ちなみに、競馬女子が増えているそうですがもちろんそこには「イケメン騎手」の背景がありそうです。
川田将雅騎手
出典:nyaokichi.exblog.jp
浜中俊騎手
池添謙一騎手
イケメンなだけじゃなく、皆さん騎乗も上手いです。未来の武豊候補を争って毎週熾烈なバトルを繰り広げてます。こういう風にジョッキーたちのことをもっと知って、応援したい騎手を追いかけてみることも競馬を楽しむための一つの要素です。
馬のお世話をする厩舎、調教師、蹄鉄師たち
生まれたばかりの馬は0歳です。競走馬としてデビューする2歳まで、牧場で大事に育てられます。沢山の餌と身の回りのお世話を受けて愛情一杯に育てられた馬は厩舎(きゅうしゃ)という場所で調教というトレーニングを行います。
もちろん、単純にトレーニングするだけでなくその馬にあったメニューが考えられビシバシと鍛えられていきます。そしてレースに出れば馬に疲労も溜まります。どんなレースをどんなローテーションで戦っていくのかも考えなければなりません。
レースに出るときには馬のひづめに蹄鉄という鉄のスパイクのようなものを付けます。これも人の手によって行われています。蹄鉄師という方が馬のひづめに合ったものを選んで丁寧に取り付けています。
餌やり、馬のお家の掃除、毛づくろいなど1頭の馬の影には何十人、何百人という人たちが1頭の馬に関わっています。
そんな沢山の人たちの想いを背負って馬たちはレースを戦っています。
馬主 夢を持つ馬のオーナー
馬主になるための条件があるのって知っていますか?形態としては個人、法人、組合がありますが、個人で馬主になるためにはもちろんお金が必要です。どのくらいの条件が必要なのでしょうか?
- 年収1700万以上、総資産7500万以上
普通の人たちには到底無理な条件です。有名人としては北島三郎さん、佐々木主浩さん、Dr.コパさんなどがいます。法人としては脱毛で有名なミュゼなどがあります。
馬主になることも限られた存在。そしてダービー馬に巡り合うことが、すべての馬主にとって大きな目標であることは間違いありません。
日々、血統を研究しいい馬を生み出そうとする牧場の人たち。海外からサラブレッドを持ち込んで日本のサラブレッドと組み合わせて最強の馬を作り上げられています。その馬をいいと思って自分のものにする馬主たち。馬主も1頭1頭に強い想いと魂を込めているのです。
いくつもの運とタイミングと実力が重なりあって成り立つ日本ダービーというドラマ
日本ダービーの賞金は1着で2億円。賞金もまさに夢のような金額です。出走できる馬は3歳馬のみです。馬にとって一生に一度しかチャンスはありません。
その夢を追ったいろんな人たちがこのレースを目指してきます。
最強の馬を生み出すため研究し尽くされた血統による配合を実現した生産者。
厳しい試験を合格し、実績を積み重ねて選ばれてここまできた騎手。
馬の特徴を考え、日々馬に負荷をかけないようにトレーニングを組んできた調教師。
馬が生まれてから愛情を注ぎ、身の回りのお世話をして大事に育ててきた厩舎や蹄鉄師の人たち。
あらゆる想いが詰まった3歳世代最強の18頭が日本ダービーの舞台で火花を散らします。
勝負はレースが終わるまでわからないから楽しい
いくら最強だと言われても当日まで何があるかわかりません。調子が悪いかもしれないし、大勢の観客の前に怯えてしまう馬もいるかもしれません。
騎手はこのレースに勝つための戦略とイメージをしっかりしてくるはずです。でも当日になって急に緊張して思ったような競馬ができないかもしれません。騎手であり1人の人間であり、アスリートなのです。
レースがスタートしてからもわかりません。どこを走って、どんなペースで、どこに進路をとって、いつ勝負を仕掛けるのか。一瞬のタイミングで勝敗が決してしまうかもしれません。サラブレッドも生き物であり、乗っている騎手との折り合いがすべての鍵を握ります。
日本ダービーは2400mでほんの2分半で終わってしまいます。その一瞬は儚く、しかし希望に満ちた、全ての人が熱狂する瞬間です。
最後までどの馬が勝つのか分からない。その興奮、緊張、スリル、感動がゴールに待っています。
馬券はあくまでも競馬を楽しむためのスパイスと心得る
競馬=ギャンブル=儲かりたい!という想いを思っている方は多いと思います。ただ、ギャンブルにハマりきってしまっては元も子もありません。全財産を失ってまで熱中してしまう依存症は本当に怖いです。
ここは一歩引いて、馬券を買うのは競馬を面白くするための「スパイス」として考えるくらいがちょうどいいと思います。いろんな人の想いの込もった最高傑作の毛ヅヤがピカピカの馬たちを見てあげてください。その中で応援したい馬、応援したい人たちで選んでみましょう。競馬という魅力楽しみ方の一つです。
いろんな視点から日本ダービーを観戦して競馬を楽しんでみましょう
競走馬には本当に沢山の人たちの想いや夢が込められています。もちろん、日本ダービーを勝つことだけが全てではありません。歳を取ることで活躍する馬もいます。逆に言えば、この日本ダービーのレースまでに成長と調子のピークを持ってきた馬が勝利をてにすることができるとも言えるのです。まさに運命的なレース。
たくさんの人たちの想いと熱意と感動と夢が詰まったレース。あらゆる条件が揃って初めて立てる世代の頂点という栄光。
それを手にする馬と騎手は誰なのでしょうか?その瞬間を是非、観戦してみてください。