オバマ米大統領が任期末を控え、アジア歴訪でベトナムと日本を訪問先に選んだ。最初の訪問国ベトナムは1964年から9年間続いたベトナム戦争当時、超大国・米国に敗北を味わわせた国だ。オバマ大統領はベトナムに対する殺傷武器輸出禁止措置を52年ぶりに全面解除し、両国間に残された敵対関係の遺産を完全に清算した。27日には現職大統領として初めて広島を訪問し、原爆犠牲者の霊を慰める。AFP通信は「オバマ大統領のアジア訪問は20世紀に起きた2つの戦争(ベトナム戦争と太平洋戦争)による苦痛の章を締めくくる目的がある」と評した。
オバマ大統領が過去の2つの敵国を訪問し、「戦争の歴史」を整理するのは、ベトナム・フィリピンなどと南シナ海の領有権を争い、アジアの既存の勢力バランスを揺るがしている中国をけん制する目的が大きい――。海外メディアはそう報じている。
ベトナムを訪れているオバマ大統領は23日、ハノイでチャン・ダイ・クアン国家主席と首脳会談を行い、ベトナムに対する武器輸出禁止を全面解除することで合意した。米国は2014年にベトナムへの海上防衛用の非殺傷武器に関する禁輸措置を解除したが、中国と領有権争いを繰り広げるベトナムは武器輸出禁止措置の完全解除を求めてきた。
オバマ大統領は首脳会談後の共同記者会見で、「今回の禁輸措置解除は中国をけん制するためではなく、ベトナムとの関係を正常化するための長い道のりを締めくくるためだ」と述べた。その上で、「米国とベトナムが軍事的に協力を強化できる道が開かれた。ベトナムに対する武器輸出は事案ごとに検討するが、両国の理念的な違いに基づく輸出禁止はもはや必要ない」と指摘した。
クアン国家主席も「昨日の敵がきょうの友になった」と述べた。共同声明には明記されなかったが、ベトナムは米海軍のカムラン湾寄港を認めるとみられる。オバマ大統領は今回のアジア訪問にベトナム戦争に参戦した元兵士と太平洋戦争当時に日本の捕虜になった老兵を同行させた。オバマ大統領は23日、ハノイで開かれた公式夕食会で「われわれは戦う勇気だけでなく、平和をつくり出す勇気を共有している」と述べた。今回の訪問が過去の敵国と和解し、未来を切り開くための旅だという点を強調した格好だ。