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印南敦史印南敦史  - ,,,,  06:30 AM

バッドニュースには感謝しよう! 部下の失敗との正しい向き合い方

バッドニュースには感謝しよう! 部下の失敗との正しい向き合い方

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私がお伝えしたいことは、どんな企業であっても「人」を大切にしなければ長続きしないということです。外資系だからといって、「結果だけ出せばいい」「自分さえよければいい」という人は上には立てません。実際に私が接する機会があったほとんどのトップの方々は、人間的にも素晴らしい人物ばかりでした。(「プロローグ」より)

こう語るのは、『いばる上司はいずれ終わる―世界に通じる「謙虚のリーダー学」入門』(鳥居正男著、プレジデント社)の著者。スイスの医薬品メーカーである日本ロシュ(現・中外製薬)を振り出しとして、外資系の医薬品業界で約45年働き続けてきたという人物。そのうち23年以上を、日本法人の社長として過ごしてきたそうです。

しかし、バリバリの「外資系人間」というよりは、大和魂を大切にする考え方を持った、根っからの日本人だと自負しているのだとか。それどころか経験からいえるのは、「日本人らしさ」こそが、グローバル競争を生き抜く鍵であるとさえ考えているのだといいます。

むしろ競争環境がグローバル化しているからこそ、日本人は日本人の持つすばらしさを見なおすべきだということ。外資系企業に身を置いていると、実は日本人よりも外国人の方が日本を高く評価していると実感するそうですが、たしかに同じことは、現在話題となっている『ハーバードでいちばん人気の国・日本』(佐藤智恵著、PHP新書)にも書かれています。いずれにせよ、もしそうなのだとすれば、その根底にある謙虚な姿勢こそが、今後のビジネス現場で生き抜くための鍵となりそうです。

そんな考え方に基づく本書のなかから、「失敗」に焦点を当てた第4章「尽くした恩はいずれ戻る 『部下』との関係に悩んだら」を見てみましょう。



「バッドニュース」には感謝する


バッドニュースやハプニングは、いつどこから飛び込んでくるかわからないもの。それは、ある種の必然であるともいえそうですが、では、突然「まずいことになってしまいました」と報告が入ったとき、上司はどう振る舞うべきなのでしょうか?

著者の場合は、「よかった」と思うようにしているのだそうです。理由は明白で、特に悪い情報の場合は、早い段階で伝えてもらわないと対応が遅れて傷が深まり、取り返しのつかない状況に陥ってしまう危険性があるから。だからこそ、「早めの報告は歓迎する気持ちで受け入れなければ」と考えるべきだというのです。そこで、そんなときには、まず報告に来てくれたことに対する感謝を込め、「知らせてくれてありがとう」というようにしているのだとか。

もしもバッドニュースを聞いて苦虫を噛みつぶしたような顔をしたら、次から部下は私にバッドニュースを報告するのを躊躇するようになるでしょう。部下がヘッズアップしやすい環境作りも上司の大きな役割です。(114ページより)

トラブルの内容が深刻であればあるほど、報告にやってきた部下はことの重大さを十分に理解しているはず。仕事にトラブルはつきものなので、トップや上司がいちいち動揺していたのでは話になりません。そこで上に立つ人間には、どんな報告に対しても普段と同じ「傾聴」ができるだけの余裕が必要だということです。

そして、絶対にやってはいけないのが「犯人探し」。もっとも後悔し、反省しているのはミスを犯してしまった本人。だからこそ上司は、「誰がトラブルを起こしたのか」と問い詰めることよりも、まずは解決方法や次のアクションをどうすべきかを考えなくてはならないということ。

さらにいえば、トップや上司が直接行動を起越すことが解決のいちばんの近道になることも。たとえそれが、会社を代表してお詫びすることだとしても、必要とあらば率先してやるべきだといいます。危機に自らが会社のために動く姿は、組織に一体感をもたらし、「二度とこのような事態を起こすまい」という強い反省を促すことにもなるとか。(114ページより)


「犯人探し」より「解決」を優先する


そこで、トラブルの報告に際して部下の責任を追求せず、ゆったりとした気持ちで対処すべき。ただしそれは、「叱るな」ということではないそうです。危機が去って落ち着いたタイミングで、「ここまで問題が大きくなる前に、なにかやれることはなかったか」について部下と話す機会を持つことも大切だということ。

上の立場にいれば、物事をより客観的に見ることができ、アドバイスもしやすいもの。その一方、当事者はつい目の前の問題だけにとらわれがちになってしまいます。問題がどこまで波及するかにまで考えが及ばず、思いのほか大きな問題になってしまうということがあるわけです。

そんなときに大切なのは、「部下のミスは上司のミスでもある」と捉えること。仕事上のミスやトラブルを100%防ぐのは不可能ですし、そのように捉えることができれば、トラブルが起きたときに「犯人探し」をして責任を問う前に、部下をフォローしながら一緒に解決していくという姿勢になれるわけです。

特に日ごろから真剣に仕事に取り組む「完璧主義」の部下には、責任を問わずにフォローしてくれる上司の姿は響くものだと著者。また部下には、「上司が支えてくれる」という安心感を持ってもらうことも大事だといいます。安心感を持った部下は、全力で思い切り仕事に取り組み、新たなチャレンジができるようになるわけです。若いころの自分自身がそうだっただけに、部下にそうした環境を提供することは、上司や管理職にとっての大きな責任だと著者は実感しているそうです。(116ページより)


失敗は「誰もが通る道」


うっかりした凡ミスから複雑なケースまで、ミスや失敗といってもさまざまな形があるもの。しかし、失敗しようと思って仕事をしている人はまずいません。それどころか、失敗した部下は当然のことながら、落ち込んで自信を失うもの。しかし落ち込んだまま仕事に取り組めば、パフォーマンスが落ちるだけです。

では、失敗を引きずらずに新たな気持ちで仕事に向かってもらうためには、どのように声をかけるべきなのでしょうか? 著者の場合は、自分の失敗に置き換えて声をかけるようにしているのだそうです。なぜなら、「私も同じような失敗をした。誰もが通る道だ」という思いがあるから。自身が多くの失敗と挫折を経験してきたからこそ、「失敗したことがない人間なんていない」とはっきりいえるのだといいます。

失敗からこそ、成長できると実感しています。
それに結果として失敗だったとしても、そのプロセスは評価できるかもしれません。結果を出した部下を評価するのも上司の役割ですが、全体を通したプロセスも踏まえて部下を見ることができるのも直属の上司だけです。(118ページより)

ミスだけにとらわれるのではなく、広い視野で部下を見る必要があるということ。(118ページより)


「無気力部下」とは2人きりで話す


自分のことしか考えず、周囲に協力もせず、やる気もない...。もしかしたら、そんな部下もいるかもしれません。なにをいってもどうにもならないのなら、感情的になる瞬間があってもおかしくはありません。とはいえ、それは禁物。感情に任せて暴言を吐いてしまえば、他の部下からの信頼も失ってしまう恐れがあるからです。

そこで、上司として常に冷静でいることが肝心。特に日ごろからやる気を見せない部下の場合は、感情的に叱りつけるのは逆効果だといいます。もちろん時間はかかるかもしれませんが、毎日声をかけて少しずつ信頼関係を築きながら、仕事に対する意識や考え、やる気がわかない原因を探っていくべきだということ。

もちろん、無気力で努力もしない社員には、厳しく指導して忠告しなければならないでしょう。しかし、肝心なのはその方法。「やる気を出せ」と小言をいったり、「もっと真剣に取り組め」と責めたりしても改善は期待できないそうです。

まず厳しく注意し、そのうえで具体的な行動目標と、それを達成する方法と時期をはっきり決める。さらに2人でそれに合意し、もし行動が改善されず、目標も達成できなければ、厳しく処罰するということを相手にも納得させることが重要だといいます。

大切なのは、本人との対話の際に、「本当に改善してほしい」という気持ちと「必ず改善させる」という執念を持つこと。「どうせなにをいっても無駄だけど、一応やっておこう」という気持ちでは改善などありえないというわけです。

それでも仕事の姿勢に変化が見えない場合は、すでに合意したとおり厳しい対処をするしかないということになるでしょう。上司として最善を尽くしてそれでもダメなら、厳しい態度で臨まなければならないということ。上司は部下をサポートしなければなりませんが、厳しく対応することが、長い目で見ればその部下のためになるという考え方も必要だというのです。(119ページより)




常に最前線にいた人物であるだけに、ときに優しく、ときに厳しい著者の考え方には強い説得力がみなぎっています。謙虚さの本質を見極めるという意味においても、リーダーのみならずすべてのビジネスパーソンに取って必読の書であるといえそうです。


(印南敦史)

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