不明重文仏像の写真公開 所有権主張、東京の寺に2体安置
滋賀県甲賀市の大岡寺(だいこうじ)で15年前に所在不明となった重要文化財の仏像2体について、同寺から無償譲渡されたとして所有権を主張している安楽寺(東京都)の代理人弁護士が24日、同寺本堂に安置しているとする2体の写真を公開した。2体の所有権をめぐっては両寺が大津地裁で争っているが、長年、行方のわからなかった重要文化財の現在の保管場所が明らかとなり、文化庁も推移を注視している。
仏像は「木造阿弥陀如来立像」と「木造千手観音立像」。写真では、2体が重要文化財の指定書の写しとともに保管されている。代理人弁護士によると、法要行事に合わせて18日から安置し、一般公開はしていない。県教委は「写真では本物か確認できない」とした。
訴訟では、安楽寺側は、契約書などを基に「06年に無償譲渡された」と主張し、大岡寺側は「06年時点では盗難されており、無償で譲り渡した事実はない」と反論している。
文化庁によると、2体は登録原簿では今も大岡寺の所有になっている。重要文化財については、文化財保護法で所有者が所在場所を届け出ることになっている。同庁の担当者は「訴訟を見守るしかない。長い間、現物の確認が取れていなかった文化財なので、今後、寺に保管状況を確認に行くか含めて対応を検討したい」と話した。
【 2016年05月24日 23時10分 】