今回は、本日成立となりました二つの法案についてです。
まず、一つ目は、「人権や国籍などの差別をあおるヘイトスピーチ(憎悪表現)の対策法」ですが、今回は、「外国出身者に対し、危害を加える旨を告知し、著しく侮蔑するなど、地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動」と定義されることになりました。 これらの防止のための啓発が主となり、罰則は設けられていません。 ただ、将来において罰則を盛り込んだ改正ができるようにしています。 「ヘイトスピーチ」といえば、差別を受けているのがおもに韓国側であるイメージが強いでしょうが、韓国に限ったことではなく、中国、アメリカなど他国に対してのヘイトスピーチがないわけではないことも忘れてはいけません。 また、自国での日本人に対してのヘイトについても注視すべき点でもあります。 また、国家に対する問題だけではないのがヘイトスピーチであり、例えば女性への性暴力表現を容認することなどもヘイトスピーチに含まれるべきと考えています。 これからの改正に向けてすでに改善点がなされるべき法であり、引き続き、さらなる改正を目指すためにも動かなければならないでしょう。 まずは、近々行われるとされている川崎での案件が注目されます。 つづいて二つ目は、容疑者の取り調べ時において一部の事件に対しての録音・録画(可視化)や「司法取引」の導入、そして、通信傍受についての改正、その対象犯罪の拡大などを盛り込んだ、刑事司法改革関連法です。 メディアにおいてはおもに可視化と司法取引だけを注目されなければならない点であると特徴づけていますが、性犯罪問題に関して取り上げている身としては注目すべきは、通信傍受の対象が拡大されることです。 今回拡大される犯罪対象の中には、児童ポルノ犯罪も対象となり、該当の違法サイトへのアクセスをするようなインターネット利用者をより監視し、摘発拡大に大きく役に立つようにできるようになることが期待されています。 2015年7月から、既に所持に関する罰則も施行されることになりましたが、現時点では盗撮を疑われた人物を調べたところ違法画像を所持していたことが発覚した沖縄などでの事件のように、別の不審な行動を通報して調べ上げなければ摘発できないような不備がありました。 もちろん今回の法律改正でも、まだ少し摘発がしやすくなるだけに過ぎない点に留意しなければならないでしょう。 Tor(トーア)を使用した不正アクセスなど、捜査が困難になる要素はまだまだ存在し、いかにしてそれらを使ったアクセスだったとしても利用者を特定できるかが今後の捜査技術を進歩させなければならないのが課題になります。 そして児童ポルノ犯罪だけではありません。 事件というのは未然に防がなくてはならないものであり、それに限らず、性犯罪を防ぐために通信傍受ができる対象というのはまだまだ拡大すべきだと考えています。 一例をあげれば、先日起こってしまったアイドル襲撃事件もそうですし、インターネット上で有名人とファンが接することのの多いSNSにも注視すべきところがあります。 もちろんSNS自体を禁止するような事務所などもあるでしょう。 しかし、一般の人においても、性犯罪や誘拐目的などで狙われるケースというのは存在します。 一番わかりやすく言えば、大人が見知らぬ未成年と知り合い、交流し、中にはオフ会などで会うというケースも出てくることです。 一見普通の会話であってもこれは将来、通信傍受すべき対象にすべきだと考えています。 カナダでは、一見無害な会話も犯罪行為につながるとして処罰対象とすべきというカナダ最高裁の見解があります。 摘発されていないような性犯罪やそれに準ずる行為やそれらの表現・言論を問題視されている日本では取り入れるべきことであることはこれまでも述べております。 SNSにおいては、もちろんサービスによっては既に成人した利用者が未成年ユーザーを検索したり繋がることができないような対策を施しているところもありますが、Twitterにおいては、niconico等の歌い手や踊り手、あるいは絵師といったユーザーのファンなどとして知り合ってつながっているケースやフォロワーのフォロワーからつながるケースなど未成年と交流ができてしまっているのが現状です。 私達も問題となるイラストや展示会などにおいて注視するだけでなく、こういった不適切な交流を見かけた際に注意を呼びかけることや悪質な場合は運営に対処してもらうなどといった行動をとり、また運営にも未成年との交流に関して、対策を設けることを求めるべきだと考えています。 話が多少外れはしましたが、こちらの刑事司法改革関連法もまた、運用していく上でさらなる改善点が出てくることになるでしょう。 今回の成立で満足することなく、さらなる良い法案を目指して助言や行動をしていきたいと考えております。 |
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