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【社説】

舛添氏の調査 時間稼ぎじゃないのか

 調べる「第三者」にとっても、厄介な話かもしれない。自らの政治資金の流用疑惑を巡り、舛添要一東京都知事は外部の弁護士らに真相を調べてもらうというのだ。説明責任の転嫁にしか見えない。

 もはや「泥沼」と形容するのがふさわしい様相である。

 豪華な海外出張や公用車での別荘通いという鈍い金銭感覚の元をたどったら、参院議員時代から財布の中身は公私がごちゃごちゃだった。そんな疑いが強まっている。

 舛添氏が代表を務めた政党支部の新党改革比例区第四支部、資金管理団体のグローバルネットワーク研究会や泰山会。それに舛添要一後援会。解散済みの団体を含め、これらが主な財布の役割を担ってきたようだ。

 ホテルの宿泊代やレストランでの飲食代、美術品の購入代、親族企業の家賃…。個人的な出費なのに、政治活動の経費と装って財布の公金を充てたのではないか。

 殊に国の税金で賄われ、政党支部に支払われる政党交付金のごまかしは許されない。使い残したら国庫へ返さねばならないが、第四支部は解散前に研究会にそっくり寄付していた。どういう訳か。

 枚挙にいとまがないほどの疑惑が噴き出している。いやしくも首都のトップなら、公の場で丁寧な説明を尽くすのが筋である。

 ところが、舛添氏は、自らの説明を信じてもらえないから、第三者の厳しい目で精査してもらうという。政治資金問題に詳しい弁護士ら専門家が調べた結果に、政治生命を委ねるとの決意らしい。

 考えてみてほしい。政治家は自らの振る舞いの意味を、自らの言葉で説明できなければ、道義的責任を免れない。ましてや、説明責任を第三者に丸投げするような形では、時間稼ぎにしか映るまい。

 自らの言動の理非曲直を、自己判断できないような知事に、どうして都民が安心して命や暮らしを託すことができようか。

 第三者の調査といえば、政治とカネの問題で、小渕優子元経済産業相も、甘利明前経済再生担当相も、持ち出した手法である。だが、とどのつまり、司直が動きだして事実上、意味を失った。

 二人とも直ちに閣僚を辞任した。とはいえ、世間の強い政治不信を招いた。その罪は大きい。

 六月から都議会が開く。二年前の都知事選で、舛添氏を支えた責任を自覚し、自民、公明両党も疑惑解明に本腰を入れるべきだ。舛添氏は、第三者の調査を口実にして説明から逃げてはならない。

 

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