「今の地位協定のもとでは、日本の独立は『神話だ』と言われますよ」 米…[続きを読む]
多くの国で成長ペースが鈍くなり、危機の火だねも残っている。近づく主要7…
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多くの国で成長ペースが鈍くなり、危機の火だねも残っている。近づく主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)では、世界経済をどう下支えしていくかが焦点となる。
その準備として仙台市で開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議では、各国が金融政策、財政政策、構造改革をバランスよく用いていく方針を確認した。
それを「協調」と呼ぶのは大げさすぎるだろう。結局は停滞打開の妙案が見つからないまま、それぞれの国がそれぞれの事情で現状の努力を続けることを確認したにすぎないからだ。
安倍晋三首相はサミット議長国として財政出動での協調をめざしてきた。今月上旬の欧州歴訪でそう働きかけたが、財政規律を重んじるドイツや英国の理解は得られなかった。
08年のリーマン・ショック後に各国はかつてない規模で財政や金融の景気刺激策を打ったが、期待した成長にはつながらなかった。いまはマクロ政策には限界があるとの認識が広がっている。欧州では移民・難民問題で多額の財政負担も求められており、一時的な景気刺激に予算を使う余裕は乏しい。
そんな時、どの国も飛びつきたくなるのが通貨安政策だ。自国通貨を安くすれば輸出が増え、国内の雇用や投資が上向く。ただ、それは通貨高で困る国も生むゼロサムゲームだ。
G7財務相会合では通貨の競争的切り下げを回避することを改めて合意したが、そうした原則を確認し続けることには意義があろう。
もっとも、最近の為替相場を巡り日米間には温度差がある。日本は1ドル=105円台と1年半ぶりの円高になった際、為替介入を示唆した。麻生太郎財務相はG7後の会見でも「2日間で5円も円が振れるのは明らかに秩序だった動きではない」と指摘した。これに対し直後の会見で米国のルー財務長官は「無秩序と言うための条件のハードルは高い」とクギを刺した。
急激な為替変動は望ましくない。ただ、内外の物価の影響を除いた実質為替レートでは、円は1970年代以来の歴史的な円安水準にあり、米側の言い分にもそれなりに理はある。アベノミクスは円安と株高だのみだったが、それを期待し続けるのは難しいと覚悟すべきだ。
どの国にも共通するが、日本もいまは経済の基礎体力を強くする構造改革に地道に取り組むしかない。社会保障改革、財政再建、成長戦略。いずれも即効性に乏しいが、避けられない政策課題ばかりである。
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