トランプ氏が大統領になった場合、韓国は安全保障政策から全面的に見直さなければならない。核武装の決断を迫られ、在韓米軍撤退の穴を埋めるための投資も先延ばしにできなくなる。韓米自由貿易協定(FTA)についても再交渉し、韓国企業は貿易をめぐって報復の対象になるかもしれない。韓国が次期大統領を選ぶ前に、韓国を支えてきた柱を取り換えなければならないという衝撃的な事態に直面せざるを得ない。
今や、トランプ氏を「頭がいかれている」と決めつけ、次期大統領への当選を否定する時期ではない。米国の歴史を見ると、エリートたちの目に「変人」「異端」と映る人たちが何人も大統領になってきた。その中で、アンドリュー・ジャクソンとロナルド・レーガンは成功を収めた。ヒラリー・クリントン氏が勝利したとしても、トランプ氏の公約の一部を制作に反映せざるを得なくなるだろう。それが国民感情の流れだからだ。
トランプ氏の登場に備えるのとは別に、韓国もまた、トランプ氏のように強引な手段で国民を泥沼から救おうとする「英雄」を待望すべきときだ。政界は分裂し、経済は停滞している。そんな中、恵まれた環境で生まれ育ち、さまざまな醜態をさらす財閥の後継者たち、権力中毒に陥った政治家たち、アルバイトや契約社員たちを軽視する正社員の労働組合などがわがもの顔をしている。トランプ氏が「殺人者」「泥棒」などと攻撃しそうな人たちがあまりにものさばっているのではないだろうか。