【コラム】怒りの余りなぜ怒っているのかを忘れてはならない

雑居ビルトイレ刺殺事件、江南駅10番出口に渦巻く怒り

 今、韓国で最も人々の関心が集まっている場所はソウル地下鉄江南駅10番出口だ。17日に江南駅近くの商業ビルのトイレで、男が面識のない女性(23)の肩や胸を刃物で刺して殺害したことから、哀悼の場所になった。哀悼の言葉が書かれた付せん数千枚が出口の壁に貼られている。記者は21日に現場へ行った。

 現場には「女性だから死んだ」「私が被害者になってもおかしくなかった」という人々の怒りの声が寄せられていた。ところが、一部の女性団体が怒りの方向を「韓国の男」に向け始めた。「潜在的な犯罪者」と規定された男性たちは怒り、徐々に「男性対女性」の対立に広がろうとしている。現場を訪れた野党「共に民主党」の陳善美(チン・ソンミ)議員はそれを見て「なぜ韓国人はやたらに分裂し、このようなことを考えるのだろうか」と嘆いた。和解の姿勢を見せる男性もいた。ある男性がこの日、マイクを手に「男として申し訳ない。争うのはやめよう」と演説した。「男女どちらの味方かという色分けはやめよう」というプラカードを持って沈黙デモをした男性もいた。そのたびに、一部の女性たちが取り囲んで「男が殺した」と叫んだ。衝突が起こると、現場に待機していた警察が制止に入った。

 こうした犯罪を前にして女性たちがこれまで感じてきた不安や悲しみなどを考えると、このように興奮するのも理解できないことはない。女性が犯罪にさらされず、安心できる社会を必ずや作らなければならない。だが、現場で感じた雰囲気は、正常な哀悼の意の表し方から逸脱していた。憎しみに覆われた現場を見た市民はすぐに背を向けてしまった。インターネット上の世間の声も同様だった。

チョン・サンヒョク・デジタルニュース本部記者
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