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ゲンゴロウ、湖国「絶滅」 滋賀県レッドデータブック

専門家による長年の調査で確認されず、滋賀県内では「絶滅種」となったゲンゴロウ(県レッドデータブックより)
専門家による長年の調査で確認されず、滋賀県内では「絶滅種」となったゲンゴロウ(県レッドデータブックより)

 かつて滋賀県内のため池や水田に数多く生息していた水生昆虫のゲンゴロウが、県がまとめた「レッドデータブック」の最新版で「絶滅種」とされた。県内では1990年代に確認されたのが最後という。専門家は、池の護岸整備や外来種による捕食など生息環境が悪化したのが原因としている。

 ゲンゴロウは、コウチュウ目ゲンゴロウ科で、体長4センチ前後。水草の豊富な池沼や湿地に生息する。2015年版のレッドデータブックによると、ため池の管理放棄や護岸工事で産卵場所となる水草が減ったことや、アメリカザリガニなどによる捕食が要因としている。幼虫のときに生息する水田で餌となるオタマジャクシなどが減っているのも影響しているという。

 昆虫類の調査をとりまとめた琵琶湖博物館の八尋克郎総括学芸員は「長年、詳細にため池を調べてきたが確認できず、基準に沿って絶滅種と判断した」と残念がる。同じ科のシャープゲンゴロウモドキも今回絶滅種となり、ゴガタノゲンゴロウなども絶滅危惧種となっている。

 県レッドデータブックは5年ごとに改訂しており、今回は前回より151種多い1439種を選定した。植物と昆虫を中心に増えており、「生態系の基盤である植物と、それに依存する消費者の昆虫の危機的な変化を反映している」と警鐘と鳴らしている。絶滅種は7増の15種。絶滅危惧種は176種で、植物ではサギスゲ、哺乳類ではニホンカモシカ、昆虫ではギフチョウなどが新たに入った。

 同ブックは97年に発行が始まった。県内の研究者ら約80人でつくる生きもの調査委員会が集めた資料や現地調査をもとにまとめている。

【 2016年05月23日 22時20分 】

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