氷室京介のドームツアー「KYOSUKE HIMURO LAST GIGS」ファイナル公演が、本日5月23日に東京・東京ドームにて行われた。
氷室は2014年7月に、耳の不調などにより今後のライブ活動の無期限休止を発表。その後の神奈川・横浜スタジアムでのライブを経て、今年4月より活動休止前最後のライブとなる今回のツアーを開始した。今回のツアーは4月23、24日の大阪・京セラドーム大阪公演からスタートし、愛知・ナゴヤドーム公演、福岡・福岡 ヤフオク!ドーム公演を経て、東京ドームにて3DAYS公演を実施。ツアー全7公演で30万人超を動員した。
開演時刻を迎え場内の照明が落ち、氷室のこれまでの軌跡を振り返るオープニングムービーが流れ始めるとすさまじい歓声と手拍子がドーム内にこだました。映像が終わるとステージに氷室が登場。「最後の夜だぜ!」と叫び、1曲目「DREAMIN'」を歌い上げる。サビでは氷室の煽りに応え、観客が大合唱を響かせた。
その後は「RUNAWAY TRAIN」「BLUE VACATION」とBOOWY時代の名曲を連続で披露していく。氷室は熱狂的に盛り上がる会場を見渡して笑顔を浮かべつつ、伸びやかな声を響かせた。ここで氷室は「今日のライブは35年の歴史を振り返る曲を用意してあるから、最後までじっくりたっぷり楽しんでほしいと思ってます」と挨拶。「BABY ACTION」ではステージ両翼の花道へと進み出て、激しいアクションでドームの隅々まで盛り上げた。
「"16"」では軽快なリズムに乗せて氷室と5万5000人の観客が拳を挙げ、場内の一体感をさらに高める。続く「IF YOU WANT」では力強く感動的な歌声を届け、オーディエンスはじっくりと耳を傾けていた。MCで氷室はこの日のステージを「もう二度とない最後の空間なんで……」と表現し、「今の気持ちを、喋るよりも歌で届けたいと思います」と語ってから「LOVER'S DAY」を丁寧に歌い上げた。
イントロでどよめきが起こった「CLOUDY HEART」、ダイナミックなビートでドームを揺らした「LOVE & GAME」と、その後も圧巻のナンバーを連発する。「PARACHUTE」のあと、氷室はこの曲を作詞したTAKURO(GLAY)とのエピソードを語る。ロサンゼルスを訪れたTAKUROから「氷室さん、このあとどうするんですか?」とライブ活動休止後について尋ねられたという氷室は「ゆっくりアルバムを作って、60歳くらいになったら出そうかな。あまり日本語のタイトルを付けたことがないからタイトルは『還暦』で1曲目は『60』、2曲目は『年金』で……」と冗談を言い、TAKUROから「お願いだから最後のライブでそんなこと言わないでください!」と止められたとのこと。ユーモラスなやり取りに場内から笑いが起こるが、「まあ、時間をかけてアルバムを作ろうと思ってるよ。これはマジな話」と氷室が明かすとオーディエンスは大きな喜びの声を上げ、期待の拍手を送った。
本編後半戦は「BANG THE BEAT」「NATIVE STRANGER」と、アグレッシブなロックチューンを立て続けに披露していく。「ONLY YOU」や「RENDEZ-VOUZ」では5万5000人の大合唱がこだまし、氷室も笑顔でその声に聴き入った。「気持ちいいぜ東京ドーム! このまま行けますか!」という氷室の声に続いての「PLASTIC BOMB」「WILD AT NIGHT」で、場内の熱気はさらに高まった。本編の最後はソロデビュー曲「ANGEL」を熱唱。曲が終わると「サンキュー、楽しかったです!」と笑顔を浮かべ、ステージをあとにした。
怒号のように響き渡るアンコールの声に応えて再び姿を表した氷室は、2014年のライブ活動休止発表後からこのツアーまでを振り返り「『リベンジライブをやらせてくれ』って言ってから1年半ぐらい待たせちゃったけど、これで自分の中で気持ちの整理がついたなと思ってます」と語る。そして「こうしてたくさんの連中にエネルギーをもらえる人生を35年も送らせてもらって、本当に感謝してます」と改めてこの日集まったファンへ感謝を述べた。そして「みんなに贈りたい曲を、心を込めて歌います」と「The Sun Also Rises」を歌う。今の氷室とファンの心境を表したようなこの歌に、涙を流しながら聴き入る観客の姿もあった。
「IN THE NUDE」「JEALOUSYを眠らせて」「NO.N.Y.」で華々しくアンコールを締めくくったあともオーディエンスの手拍子は止まず、ダブルアンコールへと突入する。ステージに戻ってきた氷室は「今夜は死ぬまで終わんねえぞ?」と客席に呼びかけ、大きな歓声を浴びた。その盛り上がりのまま「VIRGIN BEAT」「KISS ME」と代表曲を連発。氷室は最後を惜しむように、バンドメンバーそれぞれと目線を合わせながら歌い続けた。
「SUMMER GAME」でダブルアンコールが終わってもファンの手拍子は鳴り止む気配を見せず、開演から3時間以上を経てのトリプルアンコールに。官能的に「SEX & CLASH & ROCK'N'ROLL」を歌い上げたあと、いよいよ最後の曲「B・BLUE」が始まった。氷室は時折笑顔を浮かべながら最後まで力強い声で歌い、観客も全身で最後の1曲を楽しんでいた。ラストナンバーを歌い終えた氷室は微笑みながら「サンキュー、東京ドーム!」と挨拶。客席に投げキッスを送った。
すべての曲が終わると、場内のスクリーンには場内の様子とファンが寄せたメッセージが流れる。最後は氷室からの「THANK YOU ALL FANS」というメッセージが映し出され、オーディエンスは涙ぐみながらも「ありがとう、ヒムロック!」と感謝の言葉を口々に叫んでいた。