朝のジムと英会話を終えてオフィスに向かう瞬間
株式会社テクロス
辻 拓也さん
野望とか自己実現とか特にないんです。
しいて言えば、会社を大きくすることですかね。
取材なら髪、切ってくればよかったですね。いつも月初に美容院に行くって決めているので今はかなり伸びちゃってて。
どんなことでも、スケジュールを決めてその通りにやっていくのが好きなんです。
最近だったら、朝は7時台に起きて、ジムで1時間くらい汗を流してから英会話のレッスンに行き、10時の始業時間に会社に来ています。体重も減ったし、朝の時間を大事に使えると気持ちいいですね。
事業もそうできたらいいんですけど、思い通りにするのって難しいと実感しながらここまで来た感じです。
学生のときに今の会社を立ち上げました。Web制作とか媒体運営をやって最初は好調だったんですけど、一緒に働いていた仲間が辞めたり、赤字を出して自分一人でさえ食っていくのが難しくなったり…。
一時は滋賀の実家に戻って再起を図ったほどだったので、運よくマーケットの大きなソーシャルゲーム事業を軌道に乗せることができて、またこうやって仲間に囲まれて仕事をしている今はありがたいです。
だからこそ、今は自分の目標だとか理想ではなく、みんなが働きやすい環境を作るとか、会社を大きくすることだけ考えています。それ以外、やりたいことはないですね。
周りに勝てる方法を探して
辿り着いた起業という答え
クラス替えしたばっかりの1学期から、立候補して学級長をやる目立ちたがりなヤツって時々いますよね。まさに僕がそれ。授業参観の時、わからない問題にも「はい!」って手を挙げたりしてました(笑)。人からスゴイとか言われたり、一番になったりすることが自分の中でめちゃくちゃ大事でしたね。
中3のときに、東大に行こうって決めて、そこから逆算して死ぬ気で勉強をがんばりました。中3から浪人時代の予備校の1年、この5年間は勉強しかしてないです。
でも、いざ東大に入ったら周りには「天才」がたくさんいて、なんとなく弁護士にでもなるのかな、って思ってたんですけど、もしそうなったとしても、この同級生たちには絶対に勝てない、じゃあどうする?って考えて、起業に辿りつきました。
たぶん、周りにはバカだな、って思われてましたね。なんで東大に行ったのに、よくわからないベンチャーなんかやるんだって。官僚とか、弁護士になるのが当たり前の世界ですからね。
だから、起業した当初はそいつらを見返してやるぞ、認めさせてやるぞ、って気持ちがありました。今、ですかね?もう起業して8年近く経ちますからね。自分を認めさせることよりも、自分自身が納得できることのほうが大事だと思えるようになりました。
抽象的かもしれないけど
成長は欠かせないキーワード
成長を実感するときも幸せですね。ちょっと抽象的かもしれないですけど、まずは課題を見つけられたとき。これが課題だって明確にわかれば、クリアすることで自分が成長できるじゃないですか。今だったらリーダーシップのありかたとか、マネジメントが課題だと思っていますね。
僕は割と熱くなりやすくて、感情が高まると言葉遣いだったり、態度に出てしまうんです。この間も社外の方との打ち合わせで、あまりよくない態度を取っていたみたいで、打合せのあと、同席していたうちの役員に、「辻さん、今日の言い方はないと思いますよ」ってかなりぴしゃりと言われて。
あ、そうだったんだ、言ってくれてありがとうって思いました。
社長だから何も言えないとか、言われても聞けないとかあると思うんですけど、実は指摘してもらえることがかなり嬉しいです。
相手との距離感を縮められたときもちょっとした幸せですよね。仕事関係で色々あっても、こっちから歩み寄ると相手も心を開いてくれる。そうやって信用を得てくることができたかもしれないと思っています。具体的なことじゃなくて申し訳ないんですけど、記事になりますか?あれなら、適当に作ってもらってもいいので(笑)。
インタビュー 伊藤 紘子 / 撮影 桜坂 卓也
株式会社テクロス
代表取締役
辻 拓也さん
1985年滋賀県出身。東京大学法学部卒。大学在学中に弁護士志望から一転、起業を志し、株式会社テクロスを立ち上げる。WEB制作事業やシステムの受託開発などを経て、現在は東京・京都・滋賀の3拠点でソーシャルゲーム制作事業自社開発・受注制作をメイン事業としている。