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わたしのむしめがね

駆け寄ってみたくなったら、書くときなのでしょう。

「京大出て専業主婦なんてもったいない」と言う人は、じゃあわたしが何をすれば許してくれるのか

雑文

いやもうマジでタイトルの通りっていうか、それが全てなのだけれども、一応、本文というのがあるので書いてみようと思う。

京大出てそっこうで専業主婦、まあ少数派であることは重々承知しているので、「えっ、働かないの?」と訊かれることは予想していたし、それに対する自分なりの答えだってもちろん持っていて、尋ねられたらちゃんと、それを使って説明している。それで納得してくれる人とか、「そんなもんかね〜」って感じで理解はしないまでも受け止めてくれる人とかについては、わたしは何も、マイナスの感情を抱きはしない。

それでけっこう余裕で切り抜けてこれていたのだけれども、昨日は、なんかもう怒りを通り越して泣いてしまった。疲れていると人間は弱くなるようで、こんなことで泣くとかほんとうに嫌だなあ癪に障るなあと思ったけれど、休日のお昼間から、涙が止まらなくなってしまった。

実際につらかったのは一昨日。まあ正確に言うならばその前にメールのやりとりにおいてすでに数回似たようなことを言われていて、それで一昨日、まだ言いますか? みたいな感じでお説教をされて、まあとにかくその人にとって、わたしの何かが「もったいない」らしかった。

 

いったい何がもったいないのだろう。

もったいないってことは、わたしは何かを無駄にしているってことなんだろうけれど、何を無駄にしているのだろうか。

一日経って、無意識にそんなことを考えていたら、なんだかこれもしかして、わたしの存在が無駄ってことでしょうかね、どっからやりなおせば無駄じゃないんですかね、みたいな気持ちになってきて、たぶんそれはもう女に生まれた時点じゃないのか、受精卵の時点から間違っていたのかなって思えてきて、まあ泣きましたよね。だって不条理だけれど、仕方ないもの。

 

一昨日さんざん言われたときに、「もったいなくないありかたって何ですか?」って聞こうかなって思った。「社会貢献しろっていうけど、じゃあ社会貢献って何のことですか?」とかね。

でも何て言われるかだいたいわかってたからやめた。きっとね、「それは頭がいいあなたが考えることでしょ(笑)」って言われるだろうなって思ったの。

まあ、ジェラシーなのである、それはもうわかっている。

今までの少ない経験上の話だけれど、こういうふうにわかってくれない人間は決まって年上の女性で、働きながら子供を育てていて、ここまでは別にどうでもよくてこのあとが重要なのだけれど、なんだか、子供をどうにかいい大学に入れようとしているフシがあるのだ。

「まあ主婦は無職ですよ、でも無職っつっても、家事はサイコーにクリエイティブな仕事で、わたしはめっちゃ誇り持ってやってるし、すごく間接的なのかもしれないけれど、お金にだってつながっているんじゃないかな?」みたいな話をして、わかってくれない男性、わかってくれない友人、わかってくれない研究者は、今のところいない。みんな、けっこうポジティブに受け取ってくれる。でも、たまにいるわかってくれない人間が決まって(とくに子供の)学歴に執着している女性なのは、なぜなのだろうか。

 

今思えば、専業主婦になんかならなくても、「そういう目線」ってすでに知っていた。

「すごーい! どういう教育をしたら京大に?」みたいな、わたしの親に対する目線だ。

そう、結局は、ジェラシーと、なんとかして学歴を手に入れるテクニックを盗んでやろうという、まるで学問に王道ではない抜け道があるかのような、ほんっっっとうに馬鹿げた、下卑た考えと、大学イコール大企業イコール幸せという、いまだにそれ? みたいな変な感覚なのだよ。わたしは性格が悪いから、そういう人間は大学には向いてないんじゃないかなあって思ってしまう。

 

わたしは、京大に、勉強をしに行っただけだ。あとは、京大オケに入りたかった。そしてそこで大切な人ができて、結婚して、夫と話し合った結果として外で働かない道を選んだ。

たったそれだけじゃないか。なぜお前が口を出すのか。

社会貢献とは、わたしの勉強法やわたしの高校時代の様子をお前の子供に教えてやることなのか(教えてやらなかった)。研究を続けたら続けたで、音楽学は即座には社会の役に立たないことを、お前はどう説明するのか。なぜか音楽学を音楽社会学としか言わないお前にとって、たとえばシューマンのオラトリオの楽曲分析は、社会貢献だと言えるものなのか、どうなんだよ、つまるところ、自分と同じ苦労をどうにか味わわせたいだけじゃないのか。自分の言葉で答えてみやがれ。

 

これほどのことを思っていても、泣いてしまうときがある、そんなときに、

「大丈夫。その人は、自分にないものを持っているあなたに嫉妬しているだけだよ。ぜんぜん、何も、無駄じゃないよ。」

そう言って頭をなでてくれる人と結婚してよかった、自分がそんなには間違ってないって裏付けてくれる人がいてよかった、これだから嫉妬されるのかなーなんて、ちょっと笑っちゃうけど、とにかく今晩もおいしいごはんをつくろうって思う。

わたしはちゃんと幸せで、誰にもそれを邪魔することはできない。