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〝よそ者〟視点の「道後アート」、ダダ遅れも芸術のうち?漱石没後100年記念イベント

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〝よそ者〟視点の「道後アート」、ダダ遅れも芸術のうち?漱石没後100年記念イベント

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 松山市の道後温泉で、画家の山口晃さんをメインアーティストに迎えたイベント「道後アート2016」がスタートした。開催は3年連続で、今年は夏目漱石の没後100年、小説「坊っちゃん」発表110年にあたり、「街歩き旅ノ介 道後温泉の巻」をテーマに山口さんが漱石のように“よそ者”視点で道後を感じ、仕上げた作品を盛り込むことになった。ところが旅館やホテル、商店街などと作品展示の調整が難航。山口さん自身も地元の要望を聞き、新たな作品制作に意欲を示したため一部の展示などが大幅に遅れ、芸術イベントの難しさを示す形になった。(豊田大祐)

開幕に間に合わず

 「時空を超えて道後を遊ぶ。」「日常と空想、実景と虚構がないまぜになったような感覚で、人々を街に誘います…」

 街とアートが一体となった道後アート2016(松山市主催)は、こんなコンセプトで4月29日に開幕。山口さんは、大和絵や浮世絵風の雰囲気で都市の鳥瞰(ちょうかん)図や風景画を描くなど、個性的で緻密な作風で知られる。

 当初は開幕からの第1弾イベントで、山口さんの既存の作品を旅館やホテルのロビーなどに展示する計画で、比較的簡単に実施できるとみられていた。

 しかし結局、展示は5月末に延期。その理由について、同市道後温泉事務所は「飾る場所の状況がさまざまで、山口さんも現場を見てこだわりが出たようだ。作品には屏風(びょうぶ)やのれん、壁紙などさまざまなタイプもある。旅館やホテルでも、展示する作品や飾り方などについて要望が出始め、結局予定していたシンプルな展示をやめ、その場にふさわしいものへと変更。時間がかかることになった」と説明する。

玄関口をもっと目立つように

 道後商店街入り口を飾る作品も、低予算のものから大規模なアーチ型のモニュメントに変更され、こちらはさらに遅れて6月中の完成を目指すことになった。

 同じ場所には、前回の道後アート2015で、写真家の蜷川実花さんの作品をアレンジした提灯(ちょうちん)のアーチが据えられていた。これに代わるものとして、同市は当初、プロジェクターで作品を投影するような仕掛けを計画。これならば簡単に設置でき、予算も少なくてすむはずだった。

 ところが、提灯が外された直後に現地を訪れた山口さんに、商店街の店主らが「道後の玄関口の“顔”なのに寂しくなった」「同じように目立つものを」などと要望。山口さんも「それならば新しいものを」と理解を示し、市に対しても「地元が気に入ったなら、ずっと置いてもらっても良い」と、アート期間中としていた使用条件の変更を提案した。

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