放射能の影響、判断が争点 被爆体験者訴訟 23日に控訴審判決

2016/5/22 1:48
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 長崎の爆心地から12キロ以内で原爆に遭いながら、国が定めた被爆地域外にいたため被爆者と認められていない「被爆体験者」が、国や長崎県に被爆者健康手帳の交付を求めた訴訟の第1陣の控訴審判決が23日、福岡高裁(佐藤明裁判長)で言い渡される。

 2012年の一審・長崎地裁判決は原告の訴えを退けた一方、今年2月の第2陣の同地裁判決は一部の原告の訴えを認めた。一審の司法判断が割れており、高裁判決が注目される。

 原告らが被爆者援護法の定める原爆投下時やその後に「放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」に該当するかが争点。12年の判決は原告側が主張した下痢や脱毛などの急性症状を「放射線による症状と合致していない」などとし、訴えを退けた。

 一方、今年2月の地裁判決は年間放射線被曝(ひばく)線量が自然に浴びる約10倍に当たる25ミリシーベルトを超える場合は「健康被害の可能性がある」として、線量が高いと推定された地区にいた原告の一部に手帳交付を命じた。

 原告側は控訴審で被爆により浴びた線量は「健康に害を与えるレベル」と主張。国や県は「健康被害を生じさせるような放射線降下はなかった」と反論している。

 国は長崎市の爆心地から南北に約12キロ圏、東西に約7キロ圏を「被爆地域」に設定。地域内で原爆にあった人や2週間以内に2キロ圏に立ち入るなどした人を「被爆者」として被爆者健康手帳を交付する。半径12キロ圏で原爆に遭っても、被爆地域の外側にいた人は「被爆体験者」とし、精神疾患とその合併症に限り医療費を支給している。

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