2016年05月22日
堀場の復活と再生の物語「3/4 それから…」上下巻が復刊!
V林田さんの麻雀漫画復刊レーベル「未来の麻雀」から、「3/4 それから…」上下巻が復刊されました。

(参考:シリーズ「未来の麻雀」第2回配本 ほんまりう『3/4それから・・・』 - 「未来の麻雀」ブログ)
名作麻雀劇画として名高い「3/4 よんぶんのさん」ですが、「3/4 それから…」という単行本化されていない続編が存在しており、それが二十余年の時を経て初めて単行本化されたのです。私が「3/4 よんぶんのさん」を読んだのはわりと最近のことですが、それでも「なるほど、これは名作だわ」と感じる素晴らしい作品だったので、その続編がこうして読めるのは嬉しい限りですし、20年以上前からこの作品に思い入れがあった人なら格別の想いでしょう。
(過去記事:麻雀劇画の到達点「よんぶんのさん」がついに復刊!)

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さて、この続編の「それから」ですが、現実の出来事である近代麻雀ゴールドの「プロ否定宣言」を下敷きにしているというのがとても興味深かったですね。この「プロ否定宣言」については、まだインターネットが広まる前の出来事というのもあり、現在のインターネットに当時の反響などが詳細に残ってはいないのですが、簡単に説明すると、麻雀最強戦という大会で並み居る麻雀プロを差し置いてアマチュア団体である「雀鬼会」に所属する選手が2年連続で優勝したことで、近代麻雀ゴールドの編集長が誌上で宣言したもの、といった感じです。私はその頃はまだ幼かったため近代麻雀も読んでおらず後から「歴史」として知った話でしかないのですが、個人的には「??? そもそも麻雀プロってそんな言うほど『プロ』なの?」と思ったものです。まぁ小島武夫だの阿佐田哲也だのの「麻雀プロ」の活躍した華やかな時代を知らないからこそなおさらかもしれません。もっと言うと、否定宣言をすることで麻雀プロという存在が奮起や反発したという話も聞かないし、私が麻雀を覚えて近代麻雀を読むようになった時点での認識ではすでに「麻雀プロなんて言っても別にアマチュアより圧倒的に強いわけでもなんでもない(あと、個性的な人は西原理恵子や片山まさゆきの漫画に出てくる)」というものだったため、何と言うか、その宣言をした所で麻雀界の歴史は何も変わっていないのでは…?って感じです。そんなわけで、個人的にはただの歴史上の出来事としての知識でしかなかった「プロ否定宣言」ですが、それを下敷きにこうして素晴らしい麻雀漫画が作り上げられていたとなると話は変わりますね。この「それから」のような4陣営の思惑と打ち筋が絡みあった素晴らしい麻雀漫画が作られたとなると、あの宣言にも多少は意味が見出されます。もっとも、単行本化されなかったのもそのへんの事情があったからなのかもしれませんが…。
そしてもう1つ、「それから」の素晴らしかったのは、前作の主人公・堀場の復活と再生の様子が丹念に描かれたことでしょう。人というのはそう順風満帆な人生を歩めるものではありません。ましてや、漫画の主人公ともなるとなおさらかもしれません。主人公の挫折とそこからの復活というのは、「ノーマーク爆牌党」の爆岡が当初の片山まさゆき先生の構想ではそういうのがあったそうですが、実際にはそういう展開にはなりませんでした。最近では(主人公ではありませんが)「天牌」の津神元が、ドン底まで落ちてからの復活というのを果たそうとしています。あと「バード」の不破とか。なんにせよ、敵方にせよ主人公にせよそういう復活劇というのはなかなかにアツいものがありますね。
抜け殻のようになっていた堀場が、魚地のサポートで生活を取り戻して、麻雀で闘える男へと少しずつ復活していくのを何話も掛けて丹念に描き、復活の兆しとしてこの言葉が堀場の口から漏れた時の胸の高鳴りといったらもう!

「よんぶんのさん」、さすがタイトルにするだけあるシンプルにして胸に響く名言だよなぁ……。私も仕事が辛くてうまくいかない時とかは「よんぶんのさん……」とつぶやこう。twitterで。現代的ィ!
そんな堀場の復活をサポートした魚地さん、ほんといいやつだよな……。このすぐ泣くおっさん、完全にこの作品のヒロインですわ。

そうして復活した堀場の闘いを通して、その「よんぶんのさんを乗り越えようとする意志」は堀場の息子の新へと受け継がれていくというのがまた泣けました。この「それから」は、名作の後に続く結びの物語というだけではなく、次なる世代の物語の始まりというね。
最後のあとがきには、麻雀ブロガーとしての先輩でもある麻雀マンガ愛好家・izumick氏が解説をしていましたが、これがまた素晴らしい! 先程軽く触れたような「プロ否定宣言」などの時代背景に加えて、麻雀漫画や麻雀プロの状況などについても分かりやすく説明されており、「これぞまさに『解説』だ!」と思える、名作の締めくくりに相応しすぎる名文でした。
その解説の中から、最後の一文があまりに美しすぎたので引用させていただきたく。
何度も何度も読み返すことができ、その度に新たな発見がある作品のことを、月並ですが「古典」と呼ぶのではないでしょうか。麻雀マンガの「古典」が、今を生きる若人の熱意により、自主レーベルによる出版という形で蘇ったことを、心より祝福いたします。単行本化されておらず、ほとんどの人は簡単に触れることもできなかった麻雀漫画の「古典」を、2016年の今こうして私でも気軽に読むことができるのを嬉しく思うと同時に、そのインフラを作るための復刊に携わったV林田さん達と、そして素晴らしい麻雀漫画を作り上げたほんまりう先生に感謝致します。
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