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フェイスブックは「人生の幸福度を下げる」 米研究結果

Forbes JAPAN 5月22日(日)16時0分配信

ピッツバーグ大学医学部の研究チームは、SNSが精神に及ぼす影響について調査を行った。その結果、SNSの利用頻度が高ければ高いほど、うつ病になりやすことがわかった。



論文の著者でメディアとテクノロジーの健康への影響を研究する、ブライアン・A・プリマック(Brian A. Primack)博士は「SNSは今や対人関係において非常に大きな存在となった。若者を診察する医者が、SNSの利用頻度を把握することは非常に重要だ」と述べた。

博士と研究チームは、米国に住む19歳から32歳までの1,787名を対象にアンケート調査を実施。その回答をうつ病の評価法に組み込んだ。対象となったSNSはフェイスブック、ユーチューブ、ツイッター、Google+、インスタグラム、スナップチャット、Reddit、タンブラー、ピンタレスト、Vine、リンクトインなどだ。

SNS利用者の25%がうつ病になる

アンケートの結果、SNSの利用時間は1日平均61分で、利用回数(複数のSNS)は週平均30回だった。注目すべきは対象者の4分の1以上が、うつ病になる可能性が高いとされたことだ。SNSの利用頻度が低い人と比べ、頻度が高い人がうつ病になるリスクは2.7倍だ。また、利用時間が短い人と比べ、1日中SNSを利用していると答えた人は、うつ病になるリスクが1.7倍だった。論文の筆頭著者、Luiyi Linによれば、うつ病の人がSNSで喪失感を埋めている可能性もあるが、それがSNSのさらなる利用を促進し、依存症を発生させているという。

SNSが何故うつ病を引き起こすのか。同論文は「SNS上で友人らの投稿を目にすることで、自分以外の人たちは幸せで充実した人生を送っているという歪んだ認識と、うらやむ気持ちが生じる」と指摘している。SNS上で傍観者でいると、自分は時間を無駄にしていると感じるようになる。その結果、うつ病になる。

今回の研究の目的のひとつは、医師がうつ病患者を診察する際、SNSの利用についても尋ねることを促すことだ。また、この調査結果は公共の保健機関のSNSへの取り組みに影響を与えるかもしれない。

ミシガン大学の研究では「FBは幸福感を下げる」

SNSとうつ病に関する研究は、これだけではない。昨年、ヒューストン大学の研究チームは『Journal of Social and Clinical Psychology』で、フェイスブックの利用増加は、うつ症状と密接な関係にあり、「社会的比較」として知られる心理現象を引き起こすという研究結果を発表した。2013年8月には、ミシガン大学の研究チームが、「フェイスブックの利用が若者の主観的幸福感を低下させる」という研究論文を発表した。それによれば、フェイスブックの利用が増えれば増えるほど、幸福感は低下したというのだ。

あなたがもしSNSを利用し過ぎて、気分がふさいでいるとしたら、医師に相談することをお勧めする。そして、1日あたりのSNSの利用を制限し、他のことに時間を費やすべきだろう。

Amit Chowdhry

最終更新:5月22日(日)16時0分

Forbes JAPAN

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