3年ぶりに本屋の漫画コーナーを覗いてみた。3年ほど全く漫画を読まない生活だったが、まさかのMMRの新刊が出たと聞いたので買ってみようと少年マガジンコーナーを覗いた。
どうせ未だに進撃の巨人を猛プッシュしてるんだろうと思ったら一段落ついたようで、今は「四月は君の嘘」という漫画が映画化も決定したようで、一番のプッシュ作品になっていた。
どうもワンピースの漫画家が出版社も違うのに大絶賛したというのが有名になった切欠らしいが、それにしてもタイトルからして少女漫画、表紙の絵柄もストーリーも少女漫画。映画のポスターなんかは明らかに少女漫画を映画化したやつにしか見えなくて、典型的な若い女しか見に行かなさそうな感じだ。これを少年漫画と言われても戸惑う。
しかし、これが少年マガジンで連載されてアニメ化・映画化して大ヒットという事実。
いつから少年・青年漫画雑誌が少女漫画っぽい作品を受け入れられるようになったろう。
元来、漫画界では少女漫画っぽい恋愛漫画は読者は受け入れないし、女性作家の作品ですら男性読者は受け入れないので少年漫画を描く女性作家は男の名前で男のふりをして描いてきたはずだ。(四月は君の嘘は男性作家らしいが)
それが2010年代からは普通に女性作家が女の名前そのままで少女漫画そのままの恋愛漫画を少年・青年漫画雑誌で連載するようになった。
2010年代前半に、ヤングジャンプでマドカマチコという女性作家による少女漫画風イラストそのままで、「乙女のホゾシタ」という、学校にイケメンの保健室の先生がやってきて、そのイケメン保健室の先生に女子高生が生理や避妊などの性の悩みを相談するという内容の漫画が始まった。
男が読む漫画で生理なんかテーマにされても共感のしようがないし、青年漫画で生理がテーマになったものを読んだのは初めてだったので違和感しか無かった。高身長イケメンが女子高生にチヤホヤされる様子を男が読んで楽しめるとでも思ってるのだろうか。男にナプキンやらタンポンの使い方の話読ませてどうすんだ、少女漫画でやれと。
するとヤングマガジンもそれに続くようにゴトウユキコという女性作家がこれまたお洒落サブカル少女漫画みたいな絵柄で「R‐中学生」という漫画の連載が始めた。
基本はエロいことしか考えてない童貞のバカ男子中学生三人のドタバタを描いてはるが、そのうちの一人が使用済みナプキンマニアという設定だし、恋愛描写も女子中学生視点で男が読む作品では全くない。ヤンマガの中でも特に浮いていて、こんなの読む男はいるんだろうかって感じだ。
ヤンマガじゃなくて太田出版の「エロティクス・エフ」が似合う漫画だろう。
そして同じくヤンマガでコタニヨーコという女性作家による「ココロの飼い方」が始まった。絵柄ももちろん少女漫画丸出し、SMをテーマにした恋愛漫画だが、小学館の少女コミックでやれって感じの漫画だ。
最近の青年漫画雑誌は一体誰に向けてこういった少女漫画を連載してるんだろう、と不思議に思いながらも仕事が忙しくて漫画から離れてしまった。
そして3年ぶりに本屋の少年マガジンコーナーを覗くとまるで少女漫画コーナーのような品揃えになっていた。
「四月は君の嘘」以外にも、本棚にある漫画を見てみると、タイトルは忘れたが表紙が少女漫画みたいなのが沢山あって、裏表紙のストーリー説明文に「大人の恋愛漫画」とあった。そんなもん少年マガジンで連載すんなや。
まあ、俺がオッサンになって漫画界の新しい流れについていけなくなっているだけかとは思うのだが、果たして今の男性読者は少年・青年漫画雑誌でこういった少女漫画感のある作品を本当に違和感なく受け入れてるのだろうか?だって、数年前まで「男性読者は女性作家の作品を受け入れない」と言われていた世界である。
10年前にNANAが大ヒットしたときは、男でも読んでいるやつはいたが、少なくとも「男なのに少女漫画を読んでいる」という後ろめたさを持ちながら読んでいた男が多かった。読むとしても漫画喫茶で読むか、彼女や姉、妹に借りて読む。恥ずかしいので買えやしない。
そういった「本当は少女漫画も読みたいけど後ろめたい」という層が、少女漫画っぽい作品が少年漫画雑誌に掲載されることによって「これは少年漫画だから」と言い訳ができるので喜ぶのだろうか?
10年前くらいから、少年ジャンプやヤングマガジンなどの一般向け男性漫画コーナーでも美少女萌え漫画のような表紙の単行本が目立つようになったが、それで美少女キャラに耐性がついて少女漫画っぽいイラストも受け入れるようになったのか?
それとも少年・青年漫画雑誌に女性読者が増えて、それら女性読者がアンケートにまで影響するようになって、少年漫画界でも少女漫画っぽい作品が大ブームを起こすのだろうか?
どれかはわからないが、少なくとも俺が漫画から離れていた3年の間に今まで考えられなかったような現象が起きていることは間違いない。
非常に興味深い。
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