熊本地震 農業被害 阿蘇山「カルデラ」で拡大か

熊本地震 農業被害 阿蘇山「カルデラ」で拡大か
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先月16日に発生したマグニチュード7.3の大地震では、震度6弱の揺れを観測した熊本県阿蘇市で長さおよそ10キロにわたって地面が大きく陥没し、水田や農業用ハウスに深刻な被害が出ていたことが専門家の調査で分かりました。専門家は、過去の噴火で出来た「カルデラ」で起きたことが影響した可能性があり、原因を詳しく調べる必要があると指摘しています。
地震工学などが専門の横浜国立大学の小長井一男教授は一連の熊本地震で、活断層が大きくずれ動いた熊本県の益城町や西原村に加え、震度6弱だった阿蘇市周辺でも地面が大きく陥没する被害が相次いでいたことに注目し、その範囲や原因を調べました。
その結果、地面の陥没は阿蘇市の南西側に集中していて、50mから100mの幅で10キロほどの長さにわたって断続的に帯状に続き、深さは最大で1.5mほどあったことが分かりました。住宅が地盤ごと沈んでいるところがあったほか、陥没が確認された場所の多くは水田や畑で、周辺では地面の亀裂によって農業用の水路が切断されたり、農業用ハウスが傾いたりするなど深刻な被害が起きていたということです。
陥没が見つかった範囲は、いずれも、阿蘇山の過去の噴火で出来た、火山灰や軽石が堆積している「カルデラ」と呼ばれる地形の中だということです。小長井教授は、断層がずれ動いた影響で地盤が沈んだか、揺れによって地下の軽石などの層が砕けた可能性が考えられ、いずれもカルデラの地質が被害の拡大につながった可能性があるということです。
小長井教授は、「カルデラ内は火山灰などが厚く積もっているため、地下の構造が分かりにくく、どこにリスクがあるのか事前に把握するのが難しい。火山灰などが厚く堆積した場所はほかの都市部にもあり、今回の原因を調べ、対応につなげていくことが必要だ」と指摘しています。