「絶対に許せない」…告別式、遺族ら涙
沖縄県うるま市の女性会社員が遺体で見つかった事件で、女性の告別式が21日、出身地の名護市の斎場で営まれ、遺族や同級生ら約800人が深い悲しみに包まれた。事件では元米海兵隊員で軍属の男が死体遺棄容疑で逮捕され、中谷元(げん)防衛相や翁長雄志(おながたけし)知事らも参列し追悼。早すぎる死に、参列者は「容疑者を絶対に許せない」と怒りを新たにしていた。
ピンクのドレス姿で笑う女性の遺影。参列者によると、成人式で撮影されたばかりのものが祭壇に置かれ、白と黄色の花で飾られた。「皆さん、写真を見てください。娘を忘れないでください」。喪主の父親はそうあいさつし号泣したという。両親は遺骨や位牌(いはい)を抱いて帰りの車に乗り込む前に、涙を拭う参列者らに深く頭を下げた。
参列者には父親から「思い出も涙も、尽きることはありません」で始まる礼状が配られた。宝物だった一人娘は「今が一番楽しい時期だった」とした上で「今はいつ癒えるのかも分からない悲しみとやり場のない憤りで胸が張り裂けんばかりに痛んでいます」と記している。
「行方不明になる5日前には、(女性が)友達にクラスメートで集まろうって話していたと聞いた。それがもうかなわないと思うと悔しい」。高校で3年間同じクラスだった参列者の女性(20)は言葉を詰まらせた。「みんなに優しい子だった。帰ってきてほしい」
告別式前に、遺体の発見現場に花を手向けた中学時代の同級生の女性(20)は、中学時代に女性が将来の夢について「みんなのためになるような仕事がしたい」と話していたことを覚えている。「中学で将来の夢があってすごいと尊敬していた。言葉にならないくらい残念。政府は、二度とこういう事件が起きないよう、考え、行動してほしい。それが一番の願い」と訴えた。
女性のいとこの男性(43)は「許せない。基地はないほうがいいと思っていたが、その思いは強くなった」と話した。
式には稲嶺進・名護市長も参列。「とても許せるものではない。米軍関係者は綱紀粛正とか二度とないようにとか言うが、結局なくなっていない」と批判した。【宗岡敬介、志村一也、佐野格】