胃炎、胃・十二指腸潰瘍や胃がんについては近年、ピロリ菌が有力な原因のひとつであることが明らかとなっている。鈴木秀和医師の研究グループは、2012年12月ピロリ菌感染から胃がん発症の「がん幹細胞」を介した直接関係を初めて解明、今後の胃がん発症の予防・治療の標的としての「がん幹細胞」の重要性を示した。鈴木医師は消化器内科のピロリ菌外来を担当。内視鏡で胃の病気の有無を見るだけでなく、病気をおこす原因についても診断し、適切な治療を行っている。
「ピロリ菌は、胃の粘液に棲む細菌であり、胃や十二指腸の病気の主要な原因となることがわかってきました」と鈴木医師は話す。
日本ヘリコバクター学会の最新のガイドラインでは、ピロリ菌に感染している場合、合併疾患の有無にかかわらず除菌治療を受けることを強く推奨している。保険適用になっているのは 1)胃潰瘍・十二指腸潰瘍、2)胃MALTリンパ腫、3)特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、4)早期胃がん内視鏡治療後の胃、5)ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎であり、ピロリ菌感染者のほとんどがカバーされることになった。
同科ピロリ菌外来の一次除菌では、胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬、2種類の抗菌薬のアモキシシリンとクラリスロマイシン、計3剤を1日2回7日間連続服用する。除菌率は約75%前後。同外来では、1週間後の除菌療法終了日に、外来診察で副作用などがないかを確認し3ヵ月後に尿素呼気試験による除菌判定を予約する。一次除菌で除菌できなかった場合、二次除菌として、抗菌薬の種類クラリスロマイシンをメトロニダゾールという薬に変更し、再度1週間服用。この場合の除菌率は約80%前後。一方、三次除菌療法の保険適用はないが、同科では臨床試験として除菌療法を行っている。「除菌をした場合も、除菌をしなかった場合も、ピロリ菌による胃炎が残っている限りは、胃がんの予防のために定期的な検査が推奨されます」(鈴木医師)
鈴木医師の診察は、火曜の午前(消化器全般)、木曜の午後(ピロリ菌外来)。初診要予約。医師の指名可能。紹介状持参が望ましい。
約6万人
3,000人
日本内科学会(認定内科医・総合内科専門医)、日本消化器病学会(消化器病専門医・指導医・評議員)、日本消化器内視鏡学会(消化器内視鏡専門医・指導医・評議員)、日本肝臓学会(肝臓専門医)、日本医師会(認定産業医)、日本がん治療認定医機構(暫定教育医・がん治療認定医)、日本微小循環学会(理事)、日本臨床中医薬学会(理事)、日本ヘリコバクター学会(ピロリ菌感染症認定医・評議員)、日本潰瘍学会(評議員)、日本酸化ストレス学会(評議員)、日本自律神経学会(評議員)、日本神経消化器病学会(評議員)、日本消化管学会(胃腸科専門医・指導医、代議員)、日本がん予防学会(評議員)、日本胃癌学会(代議員)、日本プライマリ・ケア連合学会(プライマリ・ケア認定医)、日本臨床栄養学会(認定臨床栄養医)、日本癌学会、日本消化吸収学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本消化器免疫学会、日本アルコール薬物医学会、日本創傷治癒学会、 他
保険診療
慶應義塾大学医学部消化器内科: http://www.keio-med.jp/gastro/
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