G7財務相会議 課税逃れ対策の強化で一致

G7財務相会議 課税逃れ対策の強化で一致
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伊勢志摩サミットを前に仙台市で開かれていたG7=主要7か国の財務相・中央銀行総裁会議は21日閉幕し、世界経済の成長に向けG7が各国の実情に応じて、財政出動や金融政策などあらゆる政策を実行することや、いわゆる「パナマ文書」の問題を受け不正な課税逃れの対策を強化していくことで一致しました。
来週開かれる伊勢志摩サミットを前にした最後の閣僚会合となるG7の財務相・中央銀行総裁会議は21日午後、2日間の討議を終えて閉幕しました。
閉幕後、共同議長を務めた麻生副総理兼財務大臣と日銀の黒田総裁が会見を開き、会議の成果を発表しました。
それによりますと、まず世界経済については不確実性が増しているとしたうえで、G7が各国の実情に応じて、財政出動、金融政策、構造改革を実行し世界経済の成長を支えていくことで一致しました。また、為替相場の過度な変動や無秩序な動きは経済に悪影響を与えうるとしたうえで、自国の輸出などが有利になるよう意図的に通貨を安く誘導する「通貨安競争」を避けることを確認しました。
一方、いわゆる「パナマ文書」の問題を受け、タックスヘイブン=租税回避地にあるペーパーカンパニーなどを利用した不正な課税逃れの対策も話し合われました。このなかでは、外国の企業や個人が自国の金融機関に保有している口座の名義や預金残高などの情報を各国の税務当局の間で定期的にやり取りするなどして、不正な資産隠しや脱税などへの国際的な監視を強化していくことを確認しました。
さらに相次ぐテロ事件を受けて、テロリストに流れる資金を封じ込めるため、各国間での情報交換の強化や仮想通貨、プリペイドカードといった新たな決済手段が不正に利用されないような対策を徹底していくとする「行動計画」を採択しました。
今回の会議はサミットを前にG7の結束を示した形となりましたが、世界経済の成長に向けた財政出動を巡り、積極的な日米や慎重なドイツなどとの間で認識の違いも浮き彫りになり、首脳が集うサミットで意見の隔たりを収れんし、力強いメッセージを発することができるかが焦点となります。

麻生氏「サミットで積極的な議論を」

G7=財務相・中央銀行総裁会議で議長を務めた麻生副総理兼財務大臣は閉幕にあたって記者会見し、「各国の状況を踏まえて金融・財政・構造政策をどうバランス良く実施するのか議論した。需要を喚起するための大きな要素として財政があることは各国が理解しているが、置かれている状況は違う」と述べました。そのうえで麻生副総理は、「財政などについての今回の報告に基づいて、伊勢志摩サミットで積極的な議論ができるようになっていると思う」と述べました。
また、いわゆる「パナマ文書」の問題を受けた不正な課税逃れやテロ資金対策について麻生副総理は「税の透明性を高める取り組みの重要性を確認した。テロ資金対策は引き続き国際社会にとって優先度の高い課題でありG7としてリーダーシップを発揮する」と述べました。
一方、麻生副総理は会見で21日に行われたアメリカのルー財務長官との会談で来年4月に予定している消費税率の10%への引き上げについて「予定どおりだ」と述べたことを明らかにしました。

仏財務相「景気回復に財政使うべき」

フランスのサパン財務相はG7財務相・中央銀行総裁会議の後の会見で「景気回復のためにできる策は使わなければならず、それは財政だ。各国の状況にあわせ、ある程度の余裕があれば財政は使うべきだ」と述べ、財政出動に前向きな姿勢を示しました。
また、サパン財務相は、イギリスで来月EUからの離脱の賛否を問う国民投票が行われることに関して「イギリスがEUから出ることはよくないというのは各国にとって当然だ。経済的に大きなコストがかかることになる」と述べ、イギリスのEUからの離脱は世界経済に悪影響を及ぼすという認識を示しました。