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【大相撲】

白鵬、最多更新37度目V

2016年5月22日 紙面から

稀勢の里(右)の前で、日馬富士を破り全勝を守った白鵬。この後、稀勢の里が敗れ優勝が決定=両国国技館で(神代雅夫撮影)

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◇夏場所<14日目>

 (21日・両国国技館) 

単独トップの白鵬(31)=宮城野=が日馬富士との横綱対決を寄り切りで制して14連勝とし、自身の最多優勝記録を更新する37度目の優勝を2連覇で決めた。ただ一人1敗だった大関稀勢の里(29)=田子ノ浦=は横綱鶴竜に寄り切られて2敗目を喫し、初優勝と今場所後の横綱昇進の可能性は消えた。白鵬が14日目までに優勝を決定させるのは16度目となり、千代の富士を抜いて単独1位の多さとなった。十両は千代の国が12勝2敗で首位。

 日馬富士を寄り切って初日からの連勝を14に伸ばし、白鵬は土俵下で結びの一番を見つめた。デッドヒートを繰り広げていた稀勢の里が敗れた瞬間、2場所連続で37回目の優勝が決まる。立ち上がった横綱は、土俵下に落ちてきた稀勢の里の後ろを、表情を変えず通り過ぎた。

 千秋楽を待たずして優勝を決めたのは、これで16回目。「まあ、優勝は優勝ですからね。素直に喜びました」。まだ実感が沸かないのかもしれないが、単独1位のこの記録は強さの証明でもあった。

 「何場所前から、あちこち痛めて。何とかなりましたけど。ほんとによかった」。今場所前はバーベルをかついだスクワットをしていて左膝を痛めた。先場所は右肘痛に悩まされた。昨年秋場所は左膝を痛め休場。支えてきたのは「気迫ですかね」と振り返る。

 「気迫」とは相手に対してだけではない。自分自身にも向けられた。初日2日前の6日。部屋の稽古は休みだったが、横綱は午後3時に部屋へ来て、まわしを締めた。一緒に稽古をする予定だった十両の石浦が稽古場にいないとみるや、横綱は大声で呼びつけた。

 「てんぐになってるのか! 鼻をへし折ってやるぞ! って横綱に言われました。あれだけ強いのにストイック。見習わないといけない」と石浦はいう。

 初日前日の7日も、午前中の土俵祭りに出席した後で部屋へ戻り、たったひとりで土俵に立ち四股を踏んだ。

 春場所千秋楽の優勝を決める一番で立ち合いの変化。やじが飛び交ったが、今場所も「モンゴルへ帰れ!」「かち上げ禁止!」など白鵬に対するやじは多かった。場所前の力士会では、白鵬からではないが、「やじを飛ばさないようチケットの裏に注意書きをしてほしい」との意見も出た。稀勢の里との優勝争いだったから、よけいに孤独と戦うことになった。

 名古屋場所での1000勝が見えた。「1000勝というのが何かこうわたしを別人にさせてくれたかもしれない」。目標がある人間は強い。

 目下、28連勝中。千秋楽で自身の記録を更新する12回目の全勝優勝を決め、前だけを向いて名古屋へ乗り込む。 (岸本隆)

 

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