ダナン=佐々木学
2016年5月22日03時19分
米国のオバマ大統領は日本訪問に先立ち、23日からベトナムを訪れる。ベトナム戦争終結から41年。両国は近年、南シナ海問題での対中国「共闘」や貿易で急接近している。だが、戦争中に米軍が散布した枯れ葉剤の影響は今も深刻だ。「実情を見て」と涙で訴える被害者がいる。
ベトナム中部ダナン。米軍が枯れ葉剤散布の拠点としたダナン空港から約10キロの山間部の村で、グエン・ティ・マイさん(50)はオバマ大統領の訪問を知り、「ほんの少しでいい。枯れ葉剤で苦しんでいる私たちの村に来て、この子らの現実を見て欲しい」と涙を流した。
ベトナム戦争中、米軍が密林に潜む敵を見つけやすくして掃討するため、大量の枯れ葉剤をまいていた1966年に生まれた。同郷の2歳上の夫と結婚、3人の子は全員、脳や手足に先天的な障害を負っていた。土地が枯れ葉剤に含まれる有毒のダイオキシンで汚染され、夫妻がそこで採れた野菜などを食べて育った影響とみられている。
子の1人は寝たきりで、食事も移動も排泄(はいせつ)も一人ではできない。体調が急変し、病院に運び込むことも多い。夫が日雇いで稼ぐ750円ほどの日給と、政府からの補助(月約2千円)で生計を立てている。「私は貧しくてもいい。でも、子どもが可哀想で……」と声をつまらせた。
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朝日新聞国際報道部
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