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ビジネスにいちばん使える会計の話
【第2回】 2016年5月6日
著者・コラム紹介バックナンバー
安本隆晴

損益計算書(PL)の「五つの利益」は
こうしてチェックする

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三つの利益率を
うまく上げるには?

 利益の金額そのものも大切ですが、売上高を100としたときの「構成比」も大事な指標です。また、数年分(月次決算では数ヵ月分)のPLを比べるときは、その構成比の「変化率」も重要です。

 「構成比」というのはすでに説明した損益構造と同じ意味で、この構成比がわかると売上高に対する各利益の割合がわかります(各利益を売上高で割って算出します)。なかでも売上高総利益率(粗利率)、売上高営業利益率、売上高経常利益率の三つはとても大切で、それぞれを何%にするかを経営目標にしている会社は多いです。たとえば「来年度の売上高経常利益率の目標を6.5%にする」という具合です。

 では、これら三つの利益率を上げるには何が必要でしょうか?

 まず、粗利率を高めるためには、材料費を引き下げたり商品の仕入価格を抑えたりして売上原価を低くすることです。あるいは、粗利率の高い商品を扱う、セールスミックス(粗利率の異なる商品の組み合わせ)で粗利の高い商品を多く売るように努力すべきです。

 次に、粗利率が高くても販管費が多いと売上高営業利益率は高くならないので、できるだけコストを抑えた販売体制や人員体制をとることです。営業利益がプラスにならなければ、明らかにその事業は失敗です。

 さらに、売上高営業利益率が高くても、借入金に頼る体質だと利息の支払いが増えて、売上高経常利益率は高くなりません。事業が成長するまではある程度の借入金もやむをえませんが、なるべく早く借金体質から抜けだすように努力することです。

 なお、「変化率」というのは、いま説明した利益率が毎月どのくらい変化したかを見るもので、なぜ変化したのかを調べることが大事です。

 たとえば、粗利率が3月末に50.2%だったのに4月末は49.9%になったとすると、変化率はマイナス0.3ポイントということです。この差は大きいです。0.3ポイント減ったのはなぜなのか、その原因をきっちりと調べます。

 その結果、たとえば「3月末よりも粗利率が低い商品が○○個多く売れ、粗利率の高い商品が○○個少なく売れた結果、全体の粗利率が0.3ポイント減った」と分析できれば、どのように手を打てばよいかがわかります。

 このようにPLを見るときは、利益の金額そのものだけでなく、構成比や利益率、変化率をチェックすることが大切なのです。

(本連載は毎週金曜日更新。次回は5月13日(金)公開予定です)

 

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