「幸福」には模擬回答なんかないのに
こんにちは、氷太よ。
今日は阿仁谷ユイジ先生の
「刺青の男」
を頂いていくわね。
う~ん・・・何度見ても惚れ惚れするような表紙ね。
アタシは阿仁谷先生の事を尊敬の念を込めて
「阿仁貴」と呼んでいるわ!
・・・・どうでもよかったわね。要らない事言ってごめんなさい。
ちなみにこのタイトル、読み方は「しせいのおとこ」。
ここ、阿仁貴ファンは大事よ?間違えると恥ずかしいわよ?顔真っ赤になるわよ?
表紙からプンプン香ってくると思うけど、主にやーさんとそれに関わる人のお話ね。
こんなお話になってるわ。
あらすじ
背中に魂を刻んだ男たちのトリッキーでドラマチックな愛の形、オムニバス。
牡丹の男・潟木清次…人生を踏み外した潟木が見つけた愛する恋人は実は…!?
ラナンキュラスの男・武藤大輔…愛した女が遺したひとり息子、お目付役となった武藤は…。
狂い鮫の男・埜上猛志…屑な人生を地でいく楚上は今日も欲望のまま。そこへ現れた上玉は…。
そして、刺青の男たちを終焉に導く謎の男“久保田みつる”。
裏社会で生きる男たちそれぞれの「幸せ」を描いた物語。
ちょっとキズナツキ先生の「リンクス」に通ずるものがあるわね。
まあ全ての物語が全員に繋がっているわけではないんだけど。
でも1番最大の違いが「リンクス」はどのキャラも誰がどう見てもハッピーエンドに見える終わり方で締めくくられるんだけど、この「刺青の男」は真逆ね。
恐らくBL至上最もハッピーエンドから遠いハッピーエンドだと思うわ。
ここ、人によって意見が割れると思う。
この結末は論争が生まれそうね・・・ゴクリ。
ネタバレ不可避になるのでキャラ解説は割愛致しますわね
感想
ストーリー・キャラ
氷太が始めに思った感想
10ページ目に突入した時の氷太
電子書籍版には初めに予告が入っていてキレイ。
だけど本編に辿りついた時は絵が・・・その・・オブラートに包まず言うと汚くて正直
「あ・・終わったな・・」と思ったわ(失礼
でも大丈夫よ。進むにつれて見えるようになっていくから(失礼極まりない
本当にレベルが上がっていくのが分かる。
そして、情景描写に長けていて、物語自体はそう長いお話ではないものの見応えのある仕上がりになっているわ。
でもこの作品はねえ・・・読んだ事ある人なら分かると思うけどネタバレ回避しながら説明していくの難しくない?
アタシのレビュアーとして能力が試されている記事と言ってもいいわ今回。
面白いじゃない・・・!!
って展開で行きたかったんだけど「だが断る」の精神で、支障を来たさない程度にちょっとだけネタバレしちゃうわ。
この作品のコンセプトは端的に言うと「因果応報」のお話だと思うわ。
何かを得るために他人を傷つけたならば、何かを失い自分が傷つく。
そういった部分をかなり入念に描いている作品ね。
この傷つく要素っていうのがかなりディープで、病気から命そのものまで含まれているわ。
4人のキャラクターが主にお話に出てくるんだけど、どのキャラクターも絶望の淵にいながらも自分の置かれている立場や存在理由なんかに希望が見出せているのよね。
1番論争になりそうな「武藤大輔」というキャラクターに関してアタシからの見解を述べさせて貰うわね。
この人は「ずっと自分の選びたかった、選ぶ事を絶対に許されなかった選択肢」を選び、その思いを抱えて結末を迎るんだけどこの時点でもう希望を見出せているのよね。
自分の存在理由を見出せてるの。その覚悟に殉じたのよ。
確かにBLの分野ではバッドエンドかもしれないわ。
でも、1人のヒューマンドラマとして見た場合ハッピーエンドなのよね。
やっぱり理想からは程遠いけども。
あとは全体的に、各キャラの掘り下げが少し薄いかな・・。
メインテーマのみならず、余計なものでもいいから少し詰めて貰った方が背景が分かるしより感情移入できると思うの。
絵
前述したように、序盤のお話の絵は鬼門。
ここはちょっと人を選ぶかもしれないわね・・・。
後半は「同じ人が書いているとは思えない」くらいのレベルにまで達するわ。
発展
しっかりばっちりとあってその描写自体には問題はない。
だけど、この物語のコンセプトがめちゃめちゃ活きているからここも人を選ぶかもしれない。
このバイオレンスな要素があるから他のBLでは甘いシーンのはずが、この作品では重くなる。
だけどこれは物語を展開していく上で必須になってくるのよね。
まとめ
「おい・・・ほっぺたに米粒ついてるぞパクリ」みたいなベッタベタのシナモンロールよりも甘いBLしか読まない人は不向きというより読んではいけない作品でもあると思う。
映画のような物語重視の人でバイオレンスな描写が不得意でなければ本当にオススメ。
貴方のセンセーショナルな作品になる事間違いないわ。