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ピースでボーッとしている人たち 海自派遣に反対しながら守られる
阿比留瑠比の極言御免更新18日付本紙政治面の記事「ちゃっかりピースボート 派遣は反対 護衛はお願い」を読み、ああ、この人たちは何も変わっていないなあとため息をついた。実は麻生太郎内閣時代の7年前の平成21年5月にも、本紙はこんな見出しの記事を載せているからである。
「『反対、でも守って』 ピースボート 海自が護衛 ソマリア沖」
2つの記事の中身はほぼそっくりだ。ともに海賊対策での海上自衛隊派遣に反対している民間国際交流団体「ピースボート」が、アフリカ・ソマリア沖のアデン湾を通る際に、海自の護衛艦に守られて航行していたという「ムシのいい話」についてである。
「先方からの申請に基づいて実行に移したと報告を受けた」
菅義偉官房長官は18日の記者会見でこう述べた。ピースボート側は今回、契約している旅行企画会社が依頼したものであり、旅行会社の判断を尊重する立場だと主張しているようだ。だが、自分たちが批判している相手に繰り返し護衛を受けることに矛盾は感じないのだろうか。
7年前の記事では、ピースボート側は「海上保安庁ではなく海自が派遣されているのは残念だが、主張とは別に参加者の安全が第一。(旅行会社が)護衛を依頼した判断を尊重する」と説明している。当時に比べ、国際情勢はさらに厳しさを増しているにもかかわらず、彼らの世界認識に進歩はみられない。
この年の1月には、民主党(当時)の平田健二参院幹事長が記者会見で、海自派遣についてこんな疑問を示していたのを連想する。
「海賊というのは漫画で見たことはあるが、イメージがわかない」
実際には近年では、南シナ海で中国海賊船にベトナム漁船が襲撃され、沈没する事案も起きている。一方、ピースボートのこうしたあり方について、陸自出身の佐藤正久元防衛政務官は17日付の自身のフェイスブックにこう記した。
「ソマリア沖の自衛隊派遣に反対していながら、その自衛隊の庇護を受けるのは、分かりにくい。自衛隊は、依頼されれば守らざるを得ないが、であれば、ピースボートは海自に感謝するのが筋」
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