囲碁を打ち、次の日に死にたい――。そんな執念から、末期がんを押して15日の朝日アマチュア囲碁名人戦群馬県大会予選に出場した長谷川義則さん(66)=高崎市吉井町吉井川=が、翌16日に亡くなった。高崎市内で19日にあった告別式では、「囲碁は人生の全て」と語っていた長谷川さんを多くの仲間がしのんだ。
告別式には遺族や親族、長谷川さんが18歳から所属していた市内の囲碁クラブの仲間ら計約70人が参列した。式場前には長谷川さんが獲得した数々のトロフィーや盾が並び、戒名には囲碁にちなんだ「定石」の文字が入れられた。
姉の湯浅通代さん(69)によると、長谷川さんは3年半前に胃がんが見つかり、昨年3月には医師から「余命1年半」の宣告を受けた。今年2月からは体調が急激に悪化していた。
大会当日は、それまで服用していなかった痛み止めを飲んで、はうようにして車に乗り込み会場へ。4局とも勝ち、22日にある決勝大会に駒を進めていたが、体力は限界に近づいていたようだ。通代さんも「最後の気力を振り絞ったんでしょうね」と振り返る。
対局を終えた15日夜、長谷川さんはこれまで見せたことのない優しい顔で「もう、疲れたね」とつぶやいたという。通代さんは「私にも疲れさせたね、と言っているようで……。本当に囲碁が人生の全てだったんですね」と涙ぐんだ。
告別式には、長谷川さんが「俺の後継者だ」と将来を期待していた高崎市の永峯将法さん(23)も参列した。長谷川さんから「その手は欲が出ている」「人間性を高めなければ碁も強くならない」と教わったという。遺族から故人の帽子を遺品として受け取った永峯さんは「長谷川さんの代わりになれるぐらい、強くなりたい」と決意を語り、目を赤くした。
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