繰り返す悲劇…県民「米軍に責任」
行方不明だった沖縄県うるま市の女性会社員(20)が遺体で見つかり、元米兵で軍属のシンザト・ケネフ・フランクリン容疑者(32)が19日、県警に逮捕された。米軍基地に翻弄(ほんろう)され続けてきた沖縄では、米軍関係者による凶悪事件が後を絶たない。基地がある限り犯罪は起きるのか。県民は憤り、基地撤去を求める声が上がった。
「私たちの日常の場で、米軍関係者による事件が繰り返される現実をまたもや突きつけられた」。女性の人権擁護を訴える那覇市の市民団体「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の高里鈴代・共同代表(76)は、若い女性が被害に遭った事件に絶句した。容疑者が元米兵であることについて「沖縄に米軍が駐留する中で起きており、米軍の責任は免れない。本当に沖縄から撤退してほしい」と語気を強めた。
伊江村の反戦平和資料館「ヌチドゥタカラの家」館長の謝花(じゃはな)悦子さん(77)は「県民の怒りは何十年も続いている。原因はひとことで言って基地があること。一日も早く全基地を沖縄から米国に返す以外にない」と語った。
沖縄県では3月にも米兵による女性暴行事件が起き、県議会が日米両政府へ事件を防ぐ仕組み作りや基地の整理縮小を求める意見書を可決していた。女性が住んでいた、うるま市選出の照屋守之県議は「度重なる事件が地域に不安を与えている。県は米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設反対だけでなく、国がどう言おうと、基地全体の整理縮小を進めなければならない」と話した。
うるま市の隣、沖縄市選出の仲村未央(みお)県議も「凶悪な犯罪への怒りで震えが止まらない。辺野古の新基地建設を県民挙げて阻止しようとしている中での元米兵による事件であり、基地撤去を求める大きな抗議につながっていくだろう」と言う。
また、うるま市議の一人は「本土復帰から40年余りたってもまったく環境は変わらない。日米地位協定も改善されず、怒りをどこにぶつけたらいいのか」と声を震わせた。
米軍機の夜間飛行差し止めなどを求める嘉手納爆音訴訟に取り組む池宮城(いけみやぎ)紀夫弁護士(76)は「捜査の進展を待ちたい」としながら、「米軍基地がある故に起こった事件。『新たな基地を造らせない』という県民の声はますます大きくなるだろう」と述べた。【樋口岳大、青木絵美、蓬田正志】