元米兵を死体遺棄容疑で逮捕…殺害を示唆
遺体、女性会社員と確認
沖縄県うるま市大田の女性会社員(20)が4月下旬から行方不明となっていた事件で、県警は19日、同県与那原(よなばる)町与那原、米国籍の軍属で元米兵、シンザト・ケネフ・フランクリン容疑者(32)を死体遺棄容疑で緊急逮捕した。県警は同日、シンザト容疑者の供述に基づき、女性とみられる遺体を沖縄本島の恩納(おんな)村安富祖の雑木林で発見した。歯型などから遺体は女性と確認した。
逮捕容疑は4月28日午後8時15分〜29日午前2時40分の間、恩納村安富祖の雑木林で遺体を遺棄したとしている。シンザト容疑者は殺害をほのめかす供述もしており、「動かなくなった女性を雑木林に捨てた」と容疑を認めているという。県警は、殺人・死体遺棄事件とみて県警うるま署に捜査本部を設置した。
沖縄県では1995年9月に米兵3人が少女を暴行する事件が発生し、過重な基地負担と繰り返される米兵らの犯罪に県民の反基地感情が爆発した。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設を巡って政府と沖縄県が激しく対立する中、米軍関係者が凶悪事件で逮捕されたことで、沖縄の反基地感情がさらに強まるのは必至。安倍晋三首相の今後の政権運営にも影響を与えそうだ。
県警によると、女性は4月28日午後8時ごろ、同居中の交際相手の男性に「ウオーキングしてくる」とスマートフォンから無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使って連絡した後、行方が分からなくなり、29日午前に交際相手の男性がうるま署に届け出た。同署は今月12日に写真などを公開して捜索していた。
女性は自宅に財布や車を残したままで、県警は事件や事故に巻き込まれた可能性もあるとみて捜査。自宅近くのうるま市州崎の工場地帯で女性のスマートフォンの位置情報が最後に確認され、周辺の通行車両の記録などを調べたところ、米軍関係者の車両を示す「Yナンバー」の車が確認されシンザト容疑者が浮上した。県警はシンザト容疑者から車の任意提出を受け、車内の遺留物などを調べていた。
米軍属は米国籍を持ち米軍に雇われた民間人。県によると、2011年6月末現在で沖縄には2万5843人の米軍人に対し、1994人の米軍属がいる。県警などによると、シンザト容疑者は元米兵で、嘉手納基地(嘉手納町など)でインターネット関連の仕事に就いていた。日米地位協定は、米兵や米軍属が基地の外で起こした公務外の犯罪で、米側が先に容疑者の身柄を拘束した場合は、日本側が起訴するまで米側の拘束を認めている。今回は公務外の犯罪で米側の拘束もなかったため、捜査に支障はなかったという。【佐藤敬一、佐野格、宗岡敬介】